2013年5月 4日放送 有森裕子さん(第1836回)
会場 | サーラプラザ浜松(浜松市) |
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講師 | 元マラソン選手 有森裕子 |
講師紹介 | 1966年岡山県生まれ。 |
会場 | サーラプラザ浜松(浜松市) |
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講師 | 元マラソン選手 有森裕子 |
講師紹介 | 1966年岡山県生まれ。 |
走り始めて25年、マラソンは12回走りました。
2007年、東京マラソンを最後に現役引退してからは、
色々なスポーツに関わる活動をしてきました。
1996年のアトランタオリンピックのあと、ある人に言われたのは、
「あなたは走ることを充分自分のために使ったでしょう。
今度は人のために使ってみませんか」という話でした。
一番初めはカンボジアでチャリティマラソンに参加しました。
その後、スポーツを通して国内外の被災地や紛争地における
子どもたちの自立、教育を支援するための
NPO「ハート・オブ・ゴールド」を立ち上げました。
また、国連人口基金の親善大使を8年間つとめ、
各国の人々とスポーツや楽しいことを一緒にやり、
その合い間に体のことや、自分の国で起きている問題について話し、
それをまた他の人たちに伝えてもらうことをやりました。
その8年の間に、「スペシャルオリンピックス」を知りました。
これは、知的障害のある人たちにスポーツを通じ社会参加を応援する国際的な組織で、
1968年に故ケネディ大統領の妹ユニス・シュライバーが、
障害のある自分の姉が、なぜ外に出られないのかを疑問に感じて、設立しました。
その活動は全米から、世界に広がりました。
私は21年前にバルセロナオリンピックに出場した時、
他の国には、それまで内戦などで参加が出来ない選手がいたことも知り、
その選手たちがどんな位置で走っていてもとても喜んでいる様子を見ました。
私は「喜びは力になる」とそのとき思いました。
でも、マラソンでは少しでもネガティブなことを考えると走れなくなってしまいます。
ですから、すべてを「よし!」と受け入れること、
すなわち「すべてを力に」することが大切なのです。
「幸運とは準備が機会に出会うこと」あるアメリカの黒人女性が言った言葉です。
知的障害が不幸なのではなく、チャンスをもらえないことこそが不幸です。
スペシャルオリンピックスで彼らにスポーツの機会を提供していきたいと思います。
私たちはすべてのチャンスを与えられていることに感謝し、
放棄することの不幸を知らなければなりません。
誰もが、すべてを力にする能力を持っているのですから。