2014年5月10日放送 こんのひとみさん(第1887回)
会場 | 千本小学校(沼津市) |
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講師 | 絵本作家・シンガーソングライター こんのひとみ |
講師紹介 | 息子のために作った子守唄「パパとあなたの影ぼうし」が |
番組で紹介した本 | *番組で紹介した本 |
会場 | 千本小学校(沼津市) |
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講師 | 絵本作家・シンガーソングライター こんのひとみ |
講師紹介 | 息子のために作った子守唄「パパとあなたの影ぼうし」が |
番組で紹介した本 | *番組で紹介した本 |
「かあさんのこもりうた」という絵本は私にとってとても深い思いが込められた一冊です。
登場するのはお兄ちゃんグマとお姉ちゃんグマ、
そして、物語では「ぼうや」と性別が変わっていますが、
実際はのぞみちゃんという末っ子の女の子がモデルとなっています。
お兄ちゃんはもう就職が決まり、お姉ちゃんは高校生、
そしてのぞみちゃんはすこし年が離れていて、いま小学生です。
東日本大震災で大きな揺れに続いて津波が襲いましたが、
お兄ちゃんとお姉ちゃん、のぞみちゃん、お父さんは何とか逃れることが出来ました。
しかし、お母さんだけが職場から家に戻るところで津波に飲まれ、命を失いました。
お姉ちゃんのこのみちゃんは、最初の大きな揺れが来た時、自宅にいました。
そして急いでお母さんに電話をかけ「私は大丈夫」と伝えようとしました。
ところが混乱の中、電話はつながりませんでした。
そのあとで、お母さんが自宅近くで亡くなるっていたことを知り、
このみちゃんは「わたしの電話のせいだ」
「自分の着信歴を見て自宅に助けに行ったに違いない」と思い、胸が締め付けられました。
このみちゃんはそのことを誰にも言うことが出来ませんでした。
親戚のところに身を寄せて暮らす中でも、
このみちゃんは妹の世話や家族のご飯の支度など、
歯を食いしばって頑張って、お母さんのかわりを務めています。
中学2年生だった当時を振り返ってこのみちゃんは
「お母さんとはけんかばかりしていた。でも少しずつ成長して、
お母さんと姉妹のように仲良くなって話をしたり買い物に行ったりしたいと思っていた」
と言いました。
ある日、家族に連絡がありました。
ランドセルの会社からです。
未来へのタイムレターで、ランドセルを買ってあげた人が書いたメッセージを、
数年後、買ってもらった子に送ってくれるのです。
それが3年生になったのぞみちゃんのところに届きました。
お母さんの手紙が入っていました。
そして封筒の中にはのぞみちゃん宛の手紙とともに、
お兄ちゃんにもお姉ちゃんにもあてた手紙が入っていたのです。
お姉ちゃんへの手紙には
「お母さんのお手伝い、口答えしながらもやってくれてありがとう」と書いてありました。
このみちゃんがこの手紙にどれだけ救われたことでしょうか。