2011年1月29日放送　神谷明さん（第1723回）

第1723回「教壇から見えること」

東京の専門学校で、声優、俳優を目指す学生を教えて１５年になります。
教材は、新聞、雑誌、テレビなど、様々な分野にアンテナをはりめぐらし、
エッセイやコマーシャルのコメントを使っています。

毎年４月は、ワクワクします。新入生が夢を持って入学してきますから。
教師として心掛けているのは、原石の小さくてもキラッと光るものを見逃さないようにしています。
その個性を伸ばし、実力を引き出すことが、教師の目的だと思います。

学校では夏休みに、夏季体験入学を行なっています。
声優を目指す人達に、どんな授業を行なっているか体験してもらっていますが、
必ず、伝えることがあります。
それは、「声優になりたいと思って１００人入学しても、声優になれるのは５％もいない。
でも、１人でも多く声優になってもらいたいと願っているので、
強い気持ちを教師にぶつけてほしい」と話しています。
現実は厳しいですが、生徒のやる気が先生のやる気に繋がるのです。

生徒の中にはスピードが遅かったり、なかなか覚えられないなど、
いろいろなタイプがいます。
そのような生徒にはなるべく時間をかけて、一つ一つ階段上れるように指導しています。
その光景を他の生徒も見ているので、お互いの信頼感が生まれ、教室が一つになるように感じます。

声優の基礎は、何といっても発声練習です。
野球で言えばバットの素振りのようなもので、ともすれば退屈で飽きてしまうこともありますが、
音楽をかけてリズムに合わせて練習をさせると楽しいし、自然に大きな声も出るようになります。
授業は楽しいのが１番だと思っています。