2016年1月24日放送 川村妙慶さん(第1969回)
会場 | 常葉学園(静岡市) |
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講師 | 僧侶・アナウンサー 川村妙慶 |
講師紹介 | 福岡県生まれ。真宗大谷派僧侶。 |
会場 | 常葉学園(静岡市) |
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講師 | 僧侶・アナウンサー 川村妙慶 |
講師紹介 | 福岡県生まれ。真宗大谷派僧侶。 |
17年間、いろいろな人の悩みを聞かせてもらっています。
そして、その方たちに、ある共通点があることに気が付きました。
それは、答えを持つということです。
私は今まで生きてきたけれど何もいいことがなかったというように、
決めつけてしまうのです。
誰かとけんかをすればあの人が悪いと善悪や白黒をつけたがります。
人間は分けて考える癖があります。
漢字の「自分」は、自らを分けると書き、「分」は分別心という煩悩です。
人間には「慢」という比較の心があり、初めて会った人を見て、比較します。
自分よりも年上だとか、立場がどうとか、お金を持っているかとか、これが「慢」の心です。
人はいつもプラスのグループに入っていようと思い、
マイナスだと悩みます。
でも必ず人は何らかの形でマイナスは経験するのです。
いのちも一生に一回です。
大切なのは「問い」を持つこと。
マイナスを経験したところで考えるのです。
私は何のために生きるのだとか、なぜあの人とけんかをしたのだろうとか。
すると、立ち止まることを教えてくれます。
そしてここからあなたは出直すチャンスが与えられるのです。
「止」の字の上に一からスタートする意味で線を引いて「正」。
これが正しく生きるという文字の語源だと言います。
マイナスを経験することで一度立ち止まり自らに問いかける。
そこから目標をいただく。これを学問と言います。
人はなぜ悩むのか、それは、変えられないことを変えようとするからです。
自我という思いがあります。いのちを自分が作動しようとします。
でも、思いだけでは生きてはいけません。
いのちがすべてを包み、思いはその中にあるのです。
何時にお腹が鳴るのか、それを知る人はいません。
お腹が鳴って初めて減っているお腹に気づきます。
いのちが私たちを支えてくれているのです。
大切なのは「受用」です。「用」ははたらきと言う意味です。
すべてを受け入れてそれを生かす。
その時に、今まで見えなかったご縁をいただけるのです。
親鸞上人は歎異抄の中で「不簡善悪」という言葉を教えています。
よいとか悪いとか、比べる所に本当の生き方はないと言っています。