2019年2月17日放送 小島慶子さん(第2117回)
会場 | 菊川文化会館アエル(菊川市) |
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講師 | タレント・エッセイスト 小島慶子 |
講師紹介 | 1972年オーストラリア生まれ。1995年TBSに |
会場 | 菊川文化会館アエル(菊川市) |
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講師 | タレント・エッセイスト 小島慶子 |
講師紹介 | 1972年オーストラリア生まれ。1995年TBSに |
最近、多様性という言葉をよく耳にします。ダイバーシティと英語で言われたりもします。
日本社会では今、外国の人がどんどん増えてきていて、
「多様性豊かな社会を目指すにはどんな形で共生していくのがいいか考えましょう。」と言われています。
実際に、東京ではコンビニや家電量販店、そしてブランドショップに行っても
海外からのお客さま向けに外国の言葉を話す外国人の店員が多く、
本当に多様な国の人が働いていると感じます。
では、どのように多様性を受け入れ、豊かに共生していけばいいのでしょうか?
不安になる方も多いと思います。
例えば、「日本語ができない相手とどうやってコミュニケ―ションをとればいいのだろうか?」
「ゴミ出しは日本人でさえルールを守れない人が多いのに外国の人はルールが理解できるのだろうか?」など、
心配したらキリがありません。
国内にいる多くの日本人は外国の人を受け入れる立場にあります。
しかし私は家族とオーストラリアに住んでいます。
英語圏で生活していますが、私は英語を上手に話す事はできません。
主人は私よりさらに英語ができません。
オーストラリアの人にとって私たち家族は英語が話せないばかりか少数派であるアジア系の外国人なので、
私の立場は「受け入れる側」でもあり「受け入れられる側」でもあるのです。
私はオーストラリア在住ですが、日本と行き来しながら仕事をしているため、
一年の約半分は日本にいます。
日本での仕事が終わりオーストラリアに向かう朝、
空港では日本人として何の不自由もなく飛行機に搭乗します。
しかし約10時間後、オーストラリアに着くと立場が全く変わります。
日本でタレントとしてテレビに出ている事など知る人もいません。
自宅まで帰るタクシーの中で、移民の運転手の方と
お互い英語が流暢に話せないという苦労話になります。
オーストラリアは元々移民が多く、多様性を受け入れる社会としては日本より経験豊富なのです。
しかし国や言語の違いだけが「多様性」のポイントなのではありません。
同じ国にいても、言語が同じでも、私たちは半径2mから既に多様なのです。
「多様性」という言葉の持つ意味を考えてみましょう。