2019年7月21日放送 渡辺徹さん(第2139回)
会場 | 雄踏文化センター(浜松市) |
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講師 | 俳優 渡辺徹 |
講師紹介 | 1961年生まれ、茨城県出身。高校を卒業後、 |
会場 | 雄踏文化センター(浜松市) |
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講師 | 俳優 渡辺徹 |
講師紹介 | 1961年生まれ、茨城県出身。高校を卒業後、 |
近年、インターネットの普及によりとても便利な世の中になりました。
色んな調べものも瞬時にわかりますし、
欲しいものがあってもネットで買い物をすれば、わざわざ店に出向かないで済みます。
また、行った事がない海外についても情報だけはたくさん入ってくるので、
あたかも行った気分になったりします。
一方、この情報は、人間関係にも多大な影響を及ぼしてきています。
テレビやラジオに加え、インターネットからの情報により、
まだ経験したことのない人間関係も、既に経験したかのように感じてしまうのです。
最近の若い子は、実際の恋愛経験がない子も多いのか、入ってくる情報から、
「あんな面倒なことはしない方がいい。」となってしまっているようです。
これはデジタル化が進んだ結果生まれた、一つの例ではないでしょうか。
私はマイコンと呼ばれる頃から、趣味でパソコンをやっています。
その進化の凄まじさには驚くべきものがあります。
デジタル化が進むにつれ、「無駄」がどんどん省かれていきます。
「無駄」を無くす、イコール「便利」という図式になっている様です。
このようにデジタル化が進化していく世の中で、
私が生業としている俳優という仕事は、全くデジタル化されていない分野だと思います。
特に演劇の世界は、デジタル化とは対極にあるアナログの世界だと言ってもいいでしょう。
生身の人間がお客様の前に出て、汗を一杯掻きながらセリフを一生懸命喋る、
というそこには何の「便利」さも存在しません。
便利になることは無駄を省くこと。
どうも今の世の中は、その無駄の中に「ぬくもり」や「思いやり」というものを詰め込んで、
「無駄だ!」という風に捨ててやしないだろうか。
ただ、これを操るのは人間です。
人間はデジタルになりえない、アナログなのです。
今日は「アナログ」が持つ大切さについて、考えてみたいと思います。