2019年7月28日放送 バイマーヤンジンさん(第2140回)
会場 | 羽村市生涯学習センターゆとろぎ(東京都) |
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講師 | チベット声楽家 バイマーヤンジン |
講師紹介 | チベット・アムド地方出身。 |
会場 | 羽村市生涯学習センターゆとろぎ(東京都) |
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講師 | チベット声楽家 バイマーヤンジン |
講師紹介 | チベット・アムド地方出身。 |
私にはチベットや中国に住んでいる友達がたくさんいます。
昨年、その友達の一人から突然電話がありました。
「知り合いの息子さんが大阪で働くことになり、少し面倒を見て欲しい。」と言うのです。
私は快く引き受け、早速その息子さんに電話して会う約束をしました。
約束の日、私は待ち合わせ場所で待っていましたが、約束の時間を過ぎても彼は現れません。
道に迷ったのではないかと心配になり、私は電話をかけました。
すると彼は「大丈夫です。スマートフォンで地図を見て行くので心配しないでください。」と答えたのです。
結局、彼が現れたのは約束の時間を30分も過ぎた頃でした。
私は長く日本で暮らしているので「待ち合わせの際、特に初めて会う相手の場合は、
約束の時間より前に着くのが当たり前だ」という感覚が身についていて、
この件は少し腹立たしく感じました。
しかし30代半ばの彼をその場で説教しても仕方がないと自分を落ち着かせ、
その日は一緒に食事をして帰りました。
それから半年ほど経った頃、今度は「奥さんと子どもを連れて会いに来たい。」と電話がありました。
そこで、前回と同じ場所で会うことにしました。
今回も私は少し早めに待ち合わせ場所に着きましたが、またしても彼は時間通りには来ませんでした。
予約時間を大幅に過ぎてしまったためレストランをキャンセルし、
引き続き彼を待っていると、結局45分も遅れて到着したのです。
彼らは何事も無かったかのように、謝る事も無く「会えて嬉しい!」という感じだけでした。
この時も私は「やっぱり何か違うな...。」と感じていました。
それは文化や教育の違いなのだと思います。
私自身もチベットにいたときは、約束に30分遅れても謝ったことは無かったのです。
しかし結婚を機に日本に来て、
「時間を守ることや、お互いに思いやりの心を持つことは美しいことだなぁ。
その点は日本人は本当にすごい。」と感じたのです。
"親しき仲にも礼儀あり"という言葉が好きになりました。
今日は私が日本で経験した事をお話しながら、つい当たり前だと思ってしまいがちな
日本の素晴らしさについて考えたいと思います。