2019年8月11日放送 大豆生田啓友さん(第2142回)
会場 | 浜松学院大学付属幼稚園(浜松市) |
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講師 | 玉川大学教授 大豆生田啓友 |
講師紹介 | 1965年生まれ。青山学院大学大学院を修了後、 |
会場 | 浜松学院大学付属幼稚園(浜松市) |
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講師 | 玉川大学教授 大豆生田啓友 |
講師紹介 | 1965年生まれ。青山学院大学大学院を修了後、 |
ある保育園の二歳児の話です。
夏の時期、水道の蛇口の周りに三人の園児が集まっていました。
ジャージャー水を出しながら、ペットボトルに入れ、まき散らして遊んでいます。
どう見たっていたずらですよね。
でもこの園は、こういった経験も大事だと思ってやらせていたのです。
私は、実際にこの光景を間近で見ていて、
あまりにも夢中になって遊んでいる後ろ姿に引き込まれていきました。
そこにはドラマが満載だったのです。
まず、一人の男の子の行動についてお話します。
この子もペットボトルに水を入れて周囲にまき散らしていましたが、
途中から何かを思いついたようです。
水道の蛇口にペットボトルの飲み口を差し込んでくるくる回しながら
「こうかなぁ?ああかなぁ?」と考えています。
しばらくして彼の手が止まりました。
そしてニッコリ笑って私に向かって「おじさん、できた。」と言いました。
「ペットボトル持たなくても水道から水を入れられるんだ!」。
そうです、手を使わずに水を入れられたことは彼にとって大発見だったのです。
もう一人の男の子もペットボトルに入れた水を思い切りまき散らしていましたが、
途中で別の事を始めました。
彼は、ペットボトルいっぱいに水を入れ、その中に落ちていた葉っぱを入れ始めました。
そしてそのペットボトルを逆さまにしました。
実は彼、実験を始めていたのです。
ペットボトルに水と葉っぱを入れるとどうなるか?
逆さにしても葉っぱがペットボトルの飲み口に詰まり、水が出てきません。
これも大人にとっては当たり前の事ですが、彼にとっては大発見です。
彼は私を見て言いました。「出ないね...」。
彼は、ペットボトルを転がしてみたり、叩いてみたり、色々試してみました。
しかし水は出てきません。
そこで隣にいる女の子にペットボトルを逆さまにして持ってもらい、
彼は落ちていた小枝を飲み口から差し込みました。
すると水は出てきました。
「出たね!」。
彼は得意そうに私に言ったのです。
たかだか15分くらいの話です。
これは理科の実験でもあり、いわゆる問題解決学習でもあると思います。
遊びの中にはこのように、学びがたくさんあります。
今日は遊びの中に隠されている、大事な「あと伸びする力」について考えたいと思います。