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2022年9月18日放送 親野智可等さん(第2298回)

会場 テレビ静岡(静岡市)
講師 教育評論家 親野智可等
講師紹介

1958年静岡県生まれ。公立小学校で23年間教師を務める。
教育現場で親が子どもに与える影響の大きさを痛感。
教師としての経験と知識を子育てに役立ててもらいたいと
メールマガジン「親力で決まる子供の将来」を発刊し、評判となる。

第2298回「親子関係をアップデート」

親子が衝突する原因は価値観の違いとコミュニケーション不足です。今回は、親子喧嘩に発展するケースが最も多い「ゲーム」を例に話をします。

子どもがゲームに熱中していると親は心配です。ゲーム依存、健康への悪影響、学力が下がるのでは...不安はあり余るほどです。ほどんどの親が「ゲーム=悪いもの」「できるだけやらせたくない」「もっと有意義なことに時間を使って欲しい」と思っています。

一方、子どもにとってゲームは楽しいものであると同時にとても大切なものです。また、最近の研究ではゲームによって得られる能力があることもわかっています。例えば、目標に向かって試行錯誤しながら努力する力、情報収集力、判断力、記憶力です。

こうした価値観の違いを理解しようとせず、親が一方的にゲームを規制してしまうことは、結果としてお互いの不信感につながってしまうのです。ではどうしたらいいのでしょうか?

まず子どもの本音を共感的に聞くことです。例えば「みんなゲームをやっているから自分だけやらないのでは学校で話についていけなくなってしまう」と子どもが言ったとします。それを聞いた時に「そんな言い訳はしない!」と叱ったり、ノーを突き付けて門前払いしたりしないでください。「そうだね、わかるよ」と共感したうえで親が心配していることを伝えてあげてください。このとき同じ目線で話をすることが大切です。

そして親の方から歩み寄ることも大切です。ゲームを一緒にやったり、やり方を教えてもらったりするのもひとつの方法です。すると子どもたちは「自分のことがわかってもらえた」と感じて親への信頼感が高まります。

また家庭でのルールづくりにもコツがあります。お互いの話を共感的に聞きながら民主的にルールをつくることが大切です。家庭のルールは親が一方的に押しつけたものがほとんど。しかしこれは約束ではなく「命令」です。親と子どもが一緒に話し合いながらルールをつくっていく。例えば子どもは「1日4時間くらいゲームをやりたい」というかもしれません。親は「気持ちはわかるけどちょっと長すぎるから2時間にしない?」とお互いに主張し合いながら譲れるところは譲り合って妥協点を見つけてください。そしてルールが決まったらホワイトボードに書き込んで明文化しておきましょう。

ここまでゲームを一例に話をしましたが、子どもに対する考え方や対処について親自身の理解をアップデートすることが大切です。そのためには共感的かつ民主的な話し合いが大事です。こうした話し合いによって子どもは「親は自分の話を真剣に聞いてくれる」「自分のことを一生懸命考えてくれている」と感じることができ親への信頼感が高まります。そうすることで、子どもは受験や進路問題などこれから先の人生の課題についてもひとりで抱え込まずに親に話したり、相談したりすることができるようになります。親子の信頼関係という「安全装置」を携えながら様々な危機を乗り越えて行けるのです。

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