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2024年2月 4日放送 鈴木一光さん(第2367回)

会場 三島市民生涯学習センター(三島市)
講師 児童育成協会理事長 鈴木一光
講師紹介

1947年生まれ。明治大学法学部卒業後、
児童指導員として、日本教育開発センターに。
専門は児童福祉、児童館事業。2020年4月より
公益財団法人 児童育成協会の理事長を務める。

第2367回「子どもは地域で育つ」

自分の子どもや孫が、すくすく健全に育ってほしいと願うのはあたり前のことです。ところが親がしてあげられること、教えてあげられることには限りがあります。子どもが健全に育っていく上では、地域や友達関係も大切なのです。

人間は成長過程において、その段階ごとに「発達課題」があります。アメリカの発達心理学者エリクソンが唱えた「人間の発達課題」の一部を見てみましょう。


【乳児期から2歳】
お母さんを信頼できて、何でも許されるこの時期の体験が非常に大事です。他人を信じても大丈夫という「基本的信頼感」が育まれていきます。

【3歳から幼児期】
歩いて世界が広がっていきますから、自由には限界があることを教えていかないといけません。「このくらいのことはもうさせなくては」というような客観的な視点が大事です。これが、「しつける」ということで、「基本的生活習慣」を身につけさせていきます。

【学童前期】
この時期大事なのは「家族集団」です。家族の一員として役割と責任を持つこと。一つお子さんの役割を決め、責任を持ってやり遂げさせる。簡単なことでいいんです。それが集団で生きていくルールとして大切なことです。

【学童後期】
近隣の「仲間」が大事になります。友達と一緒に協調して、何かをする、遊びを作る、何かを持つ。同時にその友達が競争相手にもなってきます。競い合って高めあうことができるということです。

【思春期】
この時期に大事なのは「メンター」、自分の師匠になるような人です。勉強を教えてくれる先生はたくさんいるけれど、人生を教えてくれる先生は少ないのです。自分の憧れの人を目指していくんですね。さらに、思春期には性の問題も出てきて悩みが複雑になってきますから、自分で考えなくてはいけない。「考えさせる」というのがテーマで、全部親や周りが答えを出そうと思っても無理なのです。生きる練習の初っ端です。


小学校高学年以降の子どもにとって、「世界」というのは「仲間関係」のことで、大事なのは「自分にとって重要な友達に認められる」ことです。その仲間の文化規範を尊重する。だから自分たちだけで通じる隠語などを作り、その中に浸っていることに快さを感じます。その集団の中で、大人になって役立つ社会的な役割能力、ルールを身につけます。

それを健全な方向に持っていくというのが、大人の仕事です。私たちが大人になって働くというときに、例えば野球を思い浮かべてください。ファースト、キャッチャー、ピッチャーなど、その能力などによって監督がポジションを決めます。最初からそれを嫌だと言ったら、その社会に入れません。受け入れて、自分のポジションを一生懸命守りながら、ただボールがどこかへ行った時には、本来のポジションを超えても取りに行きます。その集団が勝つために自分の全力を出すようになるというのは、仲間時代に培うことです。生きていくために集団の結束力を培うのに、良い友達というのは非常に大事だということです。

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