2010年7月31日放送 あさのあつこさん(第1698回)
会場 | 富士市立富士南中学校 |
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講師 | 作家 あさのあつこ |
講師紹介 | 岡山県生まれ。 |
番組で紹介した本 | 「火群のごとく」 |
会場 | 富士市立富士南中学校 |
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講師 | 作家 あさのあつこ |
講師紹介 | 岡山県生まれ。 |
番組で紹介した本 | 「火群のごとく」 |
自分にとって本とはどういうものであったのか、
そして、本とどう関わってきたのか、お話ししたいと思います。
文学少女だったのかと、よく聞かれますが、小学生の時はほとんど本を読みませんでした。
岡山県の片田舎で育ちましたので、山あり川あり、自然がいっぱいで
本を読まなくても楽しい事がたくさんありました。
では、どうして作家になったのかというと、ある一冊の本との出会いがあったからです。
中学生の時、シャーロックホームズの「パスカヴィルの犬」を読みました。
どういうきっかけで、この本と出会ったのか、
全く覚えていませんが、もの凄くおもしろかったのです。
本って優しいと思います。私は13歳でこの本に出会いましたが、
その人が手にとるまで、本は行き過ぎず、待っていてくれたのです。
その頃は自意識が強く、勉強もできず、自分を否定的にとらえていましたが、
この本を読むことによって、目の前の扉が突然開いたような気がしました。
風の音、その土地の匂い、行ったこともない、イギリスの風景が目の前に浮かんできたのです。
この時、読む人でなく、人の生き方を変えるかもしれない、書き手になりたいと思ったのです。
子育ての中で、本をどう活かしたらいいのかという質問をよく受けます。
本を読めば言葉を覚えます。
言葉をたくさん知っていれば、自分の想いを相手に伝える事が出来ます。
言葉の豊かな子どもは、暴力に走りません。
そして、お父さん、お母さんは、本を楽しんでください。
子どもが読んでいなくても感動、おもしろさを子どもに伝えてください。
家庭内で、本を仲立ちにして、語る、伝えるという親子関係ができれば、
素晴らしい事だと思います。