2010年8月28日放送 バイマーヤンジンさん(第1702回)
会場 | 富士市立原田小学校 |
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講師 | チベット声楽家 バイマーヤンジン |
講師紹介 | チベット・アムド地方出身。 |
会場 | 富士市立原田小学校 |
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講師 | チベット声楽家 バイマーヤンジン |
講師紹介 | チベット・アムド地方出身。 |
私はチベットで生まれ、中国で声楽を学びました。
夫が日本人なので、16年前から日本に住むようになり、
あちこちでチベットの歌を日本の皆さんに紹介してきました。
歌う前に歌詞の意味を説明すると、
ある方から「日本にも同じような歌がありますよ。ぜひ歌ってください」とリクエストされ、
それから日本の唱歌を勉強しました。
すると、チベット生まれの私の心に響く歌詞がたくさんあることに気がつきました。
日本の詩なのに、なぜか自分が育ったチベットの故郷や両親の姿が、
まぶたに浮かんでくるような気がしたのです。
私は心が震え、それから夢中で日本の歌を覚えました。
特に感動したのは「かあさんの歌」です。
私にも子どもが生まれたので、母や姉が手作りの洋服を送ってくれます。
小包を開けると、ふるさとの匂いがするのです。それは、乾燥させた牛のフンの匂いです。
チベットは標高が高く、木がありません。
牛のフンは燃料にもなるし、家の材料にもなる大切なものです。
主人は「臭い」と言いましたが、私にとっては、ふるさとの匂い、
家族に染み付いている懐かしい香りでした。
「里の秋」も感動しました。
歌詞を調べると、戦争に行った父を待ちわびる母と子の歌でした。
私の父は戦争には行っていませんが遊牧民でした。
遊牧民の生活は、厳しくて危険が伴います。
家族で、父の無事を祈っていました。
この歌を知ってから、大好きだった父の姿を度々思い出すようになりました。
国や文化が違っても、親が子を想う気持ち、子が親を想う気持ちは変わらないはずです。
これからも、家族やふるさとを大切にする歌を歌い続けていきたいと思っています。