2012年4月28日放送 尾木直樹さん(第1785回)
会場 | 大井川公民館(焼津市) |
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講師 | 教育評論家 尾木直樹 |
講師紹介 | 1947年滋賀県生まれ。早稲田大学卒業後、 |
番組で紹介した本 | 番組で紹介した本 |
会場 | 大井川公民館(焼津市) |
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講師 | 教育評論家 尾木直樹 |
講師紹介 | 1947年滋賀県生まれ。早稲田大学卒業後、 |
番組で紹介した本 | 番組で紹介した本 |
去年の震災後、東北のあちこちを回りましたが、子どもたちの考えや感じ方も変化しています。
先ごろ、福島のある小学校のPTAから「元気が欲しいので来て下さい」と電話がありました。
ミュージシャンでもアスリートでもない私がどうやって?と悩みましたが、
教育評論家として、断ったらおしまいと思って出向きました。
福島は地震だけでなく、原発の被害で大変です。
転校する子どもも多く「ここは危険なので引っ越します」とお別れの挨拶をします。
クラスメイトは家に帰ってお母さんに「うちは危険じゃないの?」と聞きます。
でもその子の親は、「絶対に大丈夫」とは言えない。
そういう辛さがあります。
転校する子がかわいそうというだけではないのです。
「私、赤ちゃん産めないよね」という女の子や
「ぼく、何歳まで生きられるの」と聞いてくる男の子がいます。
小学1年生に向かって話をしたことなど今までなかったのですが、
子どもたちの前に立った時、何か違った雰囲気を感じました。
氷点下に近い体育館で床に座っているのですが、
視線があたたかく、こちらが癒されるような感じなのです。
私はそこで感謝の気持ちを持とうと話しました。
友達もたくさん亡くなって自分だけが生き残った子や、その親御さんが、
亡くなった人たちに申し訳ないと感じるのは人として当然かもしれないが、
逆に何十人もの亡くなった子どもたちのためにも、
「自分は命があってよかった。みんなの分もしっかり生き延びよう」という
心のステップを踏んで欲しいと話しました。
生徒に、いじめのことについて聞きました。
「いじめは誰が一番かわいそうか」という質問に対し、
4年生くらいの子が、「いじめた子がかわいそう。大人になってから恥ずかしいから」と答えました。
私は驚きました。
子どもたちにあたたかいものを感じたのはそれだったのです。
つまり、被災地の子どもたちは、人間のこれからのことや、
人間そのものを深く見る力が飛躍的についていたのです。
不幸の中でも、子どもたちは、人格的、人間的に成長していました。