2016年4月 3日放送 山﨑洋実さん(第1979回)
会場 | 東豊田中学校(静岡市) |
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講師 | コミュニケーションコーチ 山﨑洋実 |
講師紹介 | 1971年静岡県生まれ。コーチングを学び、 |
会場 | 東豊田中学校(静岡市) |
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講師 | コミュニケーションコーチ 山﨑洋実 |
講師紹介 | 1971年静岡県生まれ。コーチングを学び、 |
私は静岡の出身、夫は広島出身で、
年に一度、広島に帰省しています。
ある年の夏休みも息子と3人で広島に帰りました。
広島での毎年の恒例行事は、
瀬戸内海の海水浴と映画を見に行くことです。
海水浴が終わって翌日は映画という日、
夫が「明日は家で勉強をしていたいので行かない」と言いました。
夫は会社からの宿題で英語を勉強する必要があったのです。
もともと義理の両親孝行が目的ですから、私は「いいよ」と言って、
息子と両親の4人で映画に行くことになりました。
夫は車で映画館のあるショッピングセンターに送ってくれて、
帰りも迎えに来ると言いました。私は「分かった、よろしく」とだけ言って別れました。
映画が終わると、義母が「タクシーで帰ろう」と言いました。
夫の勉強の邪魔をしてはいけないし、待っているのも暑いし、私がおごるからと。
そんな流れで私たちはタクシーに乗り、
「そうだ、夫に電話しなければ」と思った時に夫から着信がありました。
「駐車場で待っているんだけど」と言うものでした。
「ゴメン、もうタクシーに乗っちゃった。」
私たちが先に帰宅し、あとから帰って来た夫は、
肩にかけていたタオルを投げつけて「いい加減にしろ!」と怒鳴りました。
夫にしてみれば、なぜ電話の1本もかけられないのかという思いです。
実家では初めての大ゲンカになりました。
義母は土下座をして「洋実さんごめんなさい。
私がタクシーになるなどと言わなければよかった。」と謝ります。
一体誰が悪いのでしょう?実は誰も悪くありません。
皆、良かれと思ってしたことです。
この時、私と夫はどこで落ち合うのかも決めてはいませんでした。
私としては映画が終わって電話をして
30分後に来てもらえばいいと思っていたし、
夫はもう映画が終わる時間だから、
暑い中待っているのも辛いだろうという思いやりからしたことだったのです。
誰も人を怒らせようとして生きているわけではありません。
それぞれの解釈で当たり前のことしかしていないのです。
世の中には、変えられることと変えられないことがあります。
コミュニケーションの世界では変えられないことが多くあります。
子どもの感情もコントロールできません。
何でそんなことするの?と思っても実は良かれと思ってしたことだったり、
悪気はなかったりするものなのです。