2020年3月29日放送 ジェフ・バーグランドさん(第2172回)
会場 | 菊川文化会館アエル(菊川市) |
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講師 | 京都外国語大学教授 ジェフ・バーグランド |
講師紹介 | 1949年米国生まれ。高校教師歴22年と、 |
会場 | 菊川文化会館アエル(菊川市) |
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講師 | 京都外国語大学教授 ジェフ・バーグランド |
講師紹介 | 1949年米国生まれ。高校教師歴22年と、 |
みなさんは、旅行が好きですか?
私の専門は、異文化コミュニケーションですが、大学でグローバル観光学科の学科長も務めています。
今回のテーマは、観光を世界の未来にどう繋げていくかということです。
2015年の国連サミットで採択された「SDGs(エス・ディー・ジーズ)」は、
日本語で「持続可能な開発目標」といい、
男女平等の実現や、やりがいのある仕事の推進、温暖化に対して何ができるかなど、
合わせて17項目の目標を2030年までに実現することを掲げています。
この「SDGs」の17の目標に対して「観光」がどういう役割を果たせるか考えた時、
一番大切なのはコミュニケーションではないかと、私は思います。
50年前、私は日本に来て初めて風呂に入りました。
アメリカではシャワーを浴びるだけで、風呂に座ってつかるという習慣はありません。
銭湯で見よう見まねで風呂の入り方を覚え、それから50年。
今では湯舟につからないと一日が終わらないほど風呂が好きになりました。
自分の生活の中にある「あたりまえ」が変わるのが観光です。
あたりまえが変わることによって視野が広がり、
自分と違う価値観を受け入れる器が大きくなっていきます。
例えば、「熊野古道」がある和歌山県田辺市の取り組みです。
海外からの観光客に英語で語りかけるのではなく、にっこりと笑って日本語で声を掛けます。
またお客さんをもてなす時にも、自宅で普段の食事をふるまうというルールがあります。
日本語の「おもてなし」という言葉の語源は諸説ありますが「表なし」
つまり、いい顔や良いところだけ見せるのではなく、
素顔を見せることが大事という意味が込められているのだと私は思います。
人と人が出会い、つながりを深めていく「観光コミュニケーション」の輪を広げていくことは、
まず自分の地域を良く知ることから始まります。
そして自分たちの文化を教える側に立つことが大切です。
「SDGs」が目標とする2030年に幸せになるためのヒントを
みなさんと考えていきたいと思います。