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過去の放送

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2010年7月17日放送 あさのあつこさん(第1696回)

会場 富士市立富士南中学校
講師 作家 あさのあつこ
講師紹介

岡山県生まれ。
青山学院大学文学部卒業後、
小学校教諭を経て作家デビュー。
代表作「バッテリー」で数々の賞を受賞。
二男一女の母。

第1696回「「バッテリー」に託した想い 」

「バッテリー」は多くの人に読まれ、
読後の感想もたくさん頂きました。

なぜ天才肌で、傲慢な中学生投手を主人公にしたのかとよく聞かれます。
強さと弱さ、そして先鋭的だけど優しさも合わせ持った少年は、私にとって理想的な少年像でした。
私自身10代の頃、口数が少なく、自分の考えを主張出来ませんでした。
今、それを思うと悔しく、その気持ちを解消したくて、考えを貫く少年に自分の想いを託しました。

感想で一番多かったのが、20代、30代から頂いた自分を悔いる手紙でした。
主人公のように生きたかったと。
夢や目標があったのに、大人達から無理だと言われ諦めてしまったとそうです。
だからこそ10代の人にエールを送りたいと思っています。
夢を追いかける途中で、立ち止まったり、
困難から目をそらしたりする事は、悪い事ではありません。
ただ、自分自身を否定しないでください。
夢を持ち続けてほしい、それが若い人にはできるのだと、伝えたいと思っています。

「バッテリー」には、大人も出てきますが、理想の大人として描いたのが主人公の祖父です。
口数は多くありませんが、自身の失敗も含めて、孫や子ども達に歩んだ道を語りかけます。
素晴らしい事だと思います。
私自身、子育て中にちゃんとしなさいとか、立派になれとか子どもに言っていましたが、
自分の人生を語った事はありませんでした。
大人の言葉や表現が貧しいと、子どもの言葉も貧しくなると言います。
自分の言葉で、人生を語れる大人になりたいと思っています。
そんな大人が増えれば、少しは世の中も変わると思っています。

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