川勝知事が電撃辞職へ 問われる県議会ふじのくに県民クラブの責任 度重なる失言も諫言できず 静岡

2024年04月05日(金)

地域ビジネス(政治・経済)

川勝知事の臨時会見(4月3日)

リニア中央新幹線の開業を延期させることが自らの使命だと思っていたのだろうか?静岡県の川勝平太 知事は4月3日に会見を開き、任期を残して県政を去る理由を述べた。だが、その理由に納得のいった人は少ないだろう。

川勝知事は6月の辞職を希望も…自民・公明会派が早期辞職を申し入れ 知事を支持する会派は乗らず

辞職の理由はリニア新幹線の開業延期

「一番大きかったのはリニア。4期目はリニアの南アルプストンネル工事から水・生態系・環境をいかに守るかということに心を砕いてきた」

川勝知事は4月3日に開いた会見で、任期を1年あまり残しながら辞職する一番の要因としてリニア中央新幹線をめぐる問題をあげた。JR東海が2027年の開業断念を正式に表明したことが大きかったという。

また失言…今度は新規採用職員を前に

川勝知事による訓示(4月1日)

事の発端は遡ること2日。

4月1日に行われた県庁の入庁式で、新規採用職員を前に川勝知事が「実は静岡県、県庁というのは別の言葉でいうとシンクタンクです。毎日、毎日、野菜を売ったり、あるいは牛の世話をしたりとか、あるいはモノを作ったりとかということと違って、基本的に皆様方は頭脳・知性の高い方たちです。ですから、それを磨く必要がありますね」(原文ママ)と訓示したことによる。

この職業差別とも受け取れる発言に県庁には苦情が殺到した。

開き直りからの辞意表明

取材に応じる川勝知事(4月2日)

翌2日。川勝知事は一度は報道陣からの取材要請を断るも、幹部職員から「何らかの対応をした方がよい」との助言もあり、囲み取材の場が設定された。

しかし、川勝知事は「職業差別は皆無。職業に貴賤はないというのが基本的な考え方。問題発言があったかのごとき状況になって本当に驚いている」と主張した上で「職種が違うということを言っただけ」と釈明。

さらに、全体の流れを見れば不適切な発言には当たらないとの認識を示し、「一部を取れば職業差別に落とし込むという風なことが出来る発言であったかもしれない。ジャーナリズム、あるいはメディアの質の低下を感じ、誠に残念なこと。切り取られた」と報道陣に批判の目を向けた。

ところが、最後の最後に突如として「どうしたらいいかと思っていて、よく考えたが準備もあるので6月議会をもってこの職を辞そうと思っている」と辞意を表明。

ただ、理由については何も語ることのないまま自室へと戻ってしまった。

辞意の理由を説明も疑念は晴れず

リニア中央新幹線の実験線

このため3日午後、再度、臨時の記者会見が開かれる運びとなる。

この席で、川勝知事は「大きな区切りを迎えたということで、今回ここで辞表が出せるに至った。この2~3カ月で大きく動いた。リニアの問題が大きく動いた。仕事が一段落した」と前日の発言の真意を明らかにしたが、会見を前に知事本人から辞職の意向を伝えられた県議会の中沢公彦 議長が「2027年の開業断念により一定の目途が立ったので辞任というのは、なぜそれが任期途中で辞めないといけないことにつながるのか、さっぱり意味がわからなかった」と斬り捨てた通り、知事の説明に納得のいった人は少ないだろう。

ましてや川勝知事はリニア中央新幹線の“大推進論者”を自称しており、開業の延期がなぜ大きな“区切り”と言えるのだろうか?

また、辞職するのがなぜ6月なのかという疑問が解消されることもなく、それゆえ夏のボーナスは受け取るのか問われたが、川勝知事は「自然体でいきたい」と煙に巻いた。

一方で、川勝知事によれば今回の不適切な発言も辞職を決める一因になったそうだ。

「第一次産業は最も大事にしてきた産業であり、そういう方々の心を傷つけたとすれば誠に申し訳なく心からお詫びする」と陳謝し、「私の不十分な言葉遣いによって人の心に傷をつけた。これは大きい。意図せざる形で人が傷ついている。周囲からの指摘によって気づき、(人に)言われて気づくということは大きく反省するべきこと」と一定の非を認めた。

それでも、全体を見れば自らが話した趣旨は伝わるという考えを曲げることはなく、発言を撤回することは最後までなかった。

知事に諫言できず?第2会派の責任

ふじのくに県民クラブ・田口会長(4月4日)

川勝知事の暴言・失言は一度や二度の話ではない。これまでにも不適切発言をする度に謝罪と反省を繰り返してきた。

そして、その都度、県議会の第1会派である自民改革会議や第3会派の公明党県議団が抗議や申し入れをする反面、川勝知事を支持・支援する第2会派・ふじのくに県民クラブは動きが鈍かった。

これについて、現在の執行部も含め、ふじのくに県民クラブの歴代幹部は「知事と面会し、不適切な発言を慎むよう直接伝えている」と強調していたが、結果として川勝知事の言動が改まることはなかったどころか、年を追うごとにエスカレート。

思えば2021年11月、川勝知事の不適切発言に端を発し、県政史上初めて知事に対する辞職勧告決議案が可決した際、ふじのくに県民クラブの幹部(当時)は「川勝知事に言いたいことはあるだろうが今ではない」と所属議員の引き締めを図り、全員で反対票を投じた。

今回の辞職騒動をめぐっても、自民改革会議の増田享大 代表と公明党県議団の蓮池章平 団長が4日夕方に発言の撤回と共に6月定例会を待たずして辞職するよう川勝知事に申し入れたが、ふじのくに県民クラブは同調しなかった。

ふじのくに県民クラブの田口章 会長は「私どもは知事の判断、6月定例会の冒頭で辞めるというのを尊重する立場なので乗れないという話を(自民改革会議などに)した」と説明しているが、こうした姿勢や態度が川勝知事に見透かされ、なかば馴れ合いのような形になってはいなかっただろうか?

川勝知事は常に仮想敵を作り、強い姿勢で臨むと共に時には汚い言葉で罵るという政治手法を採ってきた。

国や企業に対しても臆することなく、自らの主張をぶつける姿に県民が期待や希望を抱き、支持を集めてきたことも事実だ。しかしながら、約15年間続いた川勝“劇場”は自らの武器であったはずの言葉が仇となり終わりを迎えようとしている。

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