【リニア】退職届提出の川勝知事「足を引っ張ったことは一度もない」 あくまで"推進派"と主張 静岡

2024年04月10日(水)

地域暮らし・生活ビジネス(政治・経済)

リニア中央新幹線の実験線(山梨県)

リニア中央新幹線について、JR東海が2027年の開業を断念したことを受け、「大きな区切りを迎えた」との認識を示し、任期を残して辞職する静岡県の川勝平太 知事。一方、4月10日に行われた定例会見では「推進派から外れたことはない」と従来の主張を繰り返した。

【リニア】包囲網狭まる? 川勝知事は「分をわきまえて」 大井川流域の島田市長が強烈なジャブ 静岡市長も苦言

リニア新幹線を理由に突然の辞意 ただ…

4月2日夕方に突如として辞意を表明した川勝知事は、翌3日の会見で辞職を決断した一番の要因としてリニア中央新幹線を挙げた。

リニア中央新幹線をめぐっては、JR東海が3月29日に2027年の開業を断念すると発表していて、川勝知事は「大きな区切りを迎えた。この2~3カ月でリニアの問題が大きく動き、仕事が一段落したということで辞表を提出することになった」と述べている。

知事の辞職理由に各所から批判が殺到

建設促進期成同盟会の会長を務める愛知・大村知事

ただ、川勝知事はこれまで自らを“リニアの大推進論者”と称してきただけに批判的な意見が渦巻いていて、知事から直接辞職の意向を伝えられた県議会の中沢公彦 議長は「説明の受け止めとしては嫌がらせが成就したので私の役目は終わったという感じだった」と口にし、大井川の流域に位置する牧之原市の杉本基久雄 市長は「(リニア中央新幹線を)潰すつもりでやっていたんですか?と。大問題だと思う。国家プロジェクトであるし、国も3.5兆円(正しくは3兆円)の財政投融資をしている中で、それを7年止めたとなると僕は犯罪じゃないかと思う。それくらい大きな問題」と非難した。

杉本市長は辞意が示された4月2日に奇しくも川勝知事とリニア中央新幹線に関わる意見交換をしていて「会って話を聞いた僕の感想は、やっぱり止めるためにやっていたのだと。口では言わないけれど、そう取れる発言だった」とも話している。

また、静岡県はリニア中央新幹線建設促進期成同盟会に加盟した際、現行ルートでの整備を前提にスピード感を持って課題解決に取り組むことや2027年の開業を目指すことを約束していることから、期成同盟会の会長を務める愛知県の大村秀章 知事は「2027年の開業を断念させたことが一区切り、一仕事済んだと受け取れる発言は文書(約束)の趣旨と異なり極めて遺憾。開業を断念させて一区切りというのは整合性が取れない。我々をたばかったのか。だいぶ抑えて言っているがもっと腹が立っている」と怒りをぶちまけた。

あくまでも“推進派”と強調

静岡・川勝知事による定例会見(4月10日)

こうした中、4月10日に行われた定例会見で、川勝知事はリニア中央新幹線について「早期開通に対して足を引っ張ったことは一度もない」と胸を張り、期成同盟会においては「南アルプスの自然保全・水資源の保全とリニア開通の両立を図ること」が共通理解になっていると主張。

その上で「(リニア中央新幹線は)1970年代からやってきて、日本の技術の最先端というかエキスが入っている。それに懸けて人生を終えた、後輩に引き継いでいった人たちがいる。私はその思いも知っているし、推進派から外れたことはない」と、従来通り“推進の立場である”と強調した。

しかし、振り返ってみると川勝知事はリニア中央新幹線について過去に何度も「一旦立ち止まるべき」「計画を見直してはどうか」と言及し、10日の会見でも「私にとってリニアの問題は厳しい問題だった。国家権力というか政府、それから大企業…営利企業とはいえ公共性を持っているということで国家事業と言っているが、一方、南アルプスは国立公園で、これを保全するのは国策。ユネスコエコパークなので、これを保全するのは国際的な日本の責務だと思っている。こうした大義名分があり、地元の声も体に受けながら戦うのは厳しいものがあった。言ってみれば孤軍奮闘」と発言。

これらの経緯や今回の辞職理由を踏まえれば、川勝知事の“推進派”という言葉に疑念を抱く人がいるのも無理はない。

直近のニュース

テレしず番組公式サイト

ただいま!テレビ

防災情報

ニュース公式 YouTubeチャンネル

Line公式

Facebook公式

X公式

Instagram公式

FNN PRIME online

FNNビデオPost

ページの先頭へ