2019年8月25日放送 大豆生田啓友さん(第2144回)
- 会場
- 浜松学院大学付属幼稚園(浜松市)
- 講師
- 玉川大学教授 大豆生田啓友
講師紹介
1965年生まれ。青山学院大学大学院を修了後、
青山学院幼稚園教諭などを経て現職。
専門は乳幼児教育学、保育学、子育て支援。
2男1女の父。子育て本を中心に著書多数。
番組で紹介した本
「もりのなか」文・絵:マリー・ホール・エッツ/訳:間崎ルリ子(福音館書店)、
「おつきさまこんばんは」作:林明子(福音館書店)、
「しろくまちゃんのほっとけーき」作:わかやま けん(こぐま社)、
「どんどこももんちゃん」作・絵:とよた かずひこ(童心社)
第2144回「子どもと絵本」
皆さんは小さい頃に読んでもらった絵本の事を覚えていますか?
「あんな本を読んでもらった!こんな本も読んでもらった!」とたくさん思い出す方もいれば、
なかなか思い出せないという方もいるかも知れません。
でもその思い出は概ね、いい思い出として残っているのではないでしょうか?
私は大学の授業の中で学生相手に絵本を読む事があります。
その時、「小さい頃、絵本を読んでもらった記憶は、どんな記憶として残っている?」と尋ねると、
「今と違って、すごく幸せな記憶として残っている。」と答える学生が多いのです。
今日は実際に絵本を読み進めながら、絵本の持つ意味についてお話しします。
まずは、マリー・ホール・エッツの「もりのなか」という絵本です。
ある男の子が、森の中で色んな動物と出会います。
出会った動物は皆、男の子の散歩に付き合って、後を付いて行きます。
その後、男の子と動物は、森の中で色んな遊びをしました。
最後にかくれんぼをしていると、男の子以外、全部いなくなってしまいます。
そこに男の子のお父さんがやって来ました。
男の子は、誰もいなくなった森に向かって、「また遊ぼうね!」と言って帰っていくという話です。
この本は、表紙の茶色以外は全て白黒で、どちらかと言うと暗い感じの絵本です。
ところが、この「もりのなか」を授業で解説しようとした時、
ある学生が「この絵本は、すごく綺麗な本ですよね。」と言いました。
私はその学生に「違う絵本の事を言ってない?」と尋ねました。
しかしその学生は、「いいえ、『もりのなか』は色んな動物が出てきて
子どもが楽しそうに遊ぶ話ですよね!あれはすごく綺麗ですよ!」と答えたのです。
ではなぜこの学生は「もりのなか」を楽しい絵本だと言ったのでしょうか?
おそらく絵本を読んでもらっている時、
自分の頭の中で楽しい世界を作り上げていたからではないでしょうか。
そう、イマジネーションです。
このように、絵本は子どもの心をわくわくさせる力を持っていると思います。
他にもいくつかの絵本を紹介しながら、皆さんにその魅力を感じてもらいましょう。