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次回の放送

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2024年4月28日放送 笠井信輔さん(第2379回)

会場
菊川文化会館アエル(菊川市)
講師
フリーアナウンサー 笠井信輔

講師紹介

1963年生まれ。1987年フジテレビ入社。
朝の情報番組「とくダネ!」を20年間担当。
2019年、フリー転身直後に血液のがんである
悪性リンパ腫と判明。現在は完全寛解の状態。

番組で紹介した本

「がんがつなぐ足し算の縁」著:笠井信輔(中日新聞社)

ポイント第2379回「がんがつなぐ 足し算の縁」

アナウンサーとしてフジテレビに33年間勤め、56歳の時にフリーに転身しました。その直後、2019年のことです。「悪性リンパ腫」ステージ4と診断され、入院生活に入りました。

4カ月半後、身体から癌がすべて消えた「完全寛解」という状態になり4年が経ちますが、3か月に一度病院に行き経過観察を続けています。

入院生活は、副作用があり本当に大変でした。髪が抜け、そこまでは覚悟していましたが、困ったのが眉も全部抜けたことです。

退院後、テレビ出演のオファーが来ましたが、出たくありません。そこで生まれて初めて「眉メイク」をしてみると、お絵描きみたいでしたが、しないよりはいいし、バレませんでした。「これはいい」と、当時何かにつけて眉メイクしていました。毎日やっていると上手になり、「いいぞ、これならやっていける」と、気分が上がっていく。実は、これが令和の医療では極めて大事で、治療とともに、ストレスを減らして気分を上げる。「QOL(クオリティオブライフ)」、つまり「治療生活や入院生活の質」を上げることが大切なのです。

今の日本では、日常生活を送りながらがんと向き合っている人がとても多いのです。だから生活の質を上げて、暮らしやすくしながらがんと向き合えるということはとても大事です。

そして、辛い治療を乗り越えるために、やはり精神的な支柱は必要です。私は、「フリーになって受けていた講演の依頼も、番組のレギュラーも全部ダメ」と、「引き算の気持ち」でいっぱいでした。
そんな時、南三陸にお住まいの方が、たくさんのメッセージが書かれた色紙を5枚も持ってお見舞いに来てくださいました。「今度は私たちが笠井さんにエールを送る番です」と書かれていました。この13年間、毎年被災地に支援活動や取材活動で訪れてできた「縁」が、私の応援という「足し算の縁」となり帰ってきてくれるとは思ってもみませんでした。

そしてもう一つ、私にとっての足し算は何かというと、当時高校生だった三男が作ってくれた卵焼きです。料理をしたことがなかったのに作ってきてくれて、食べたらおいしいんです。「こういう時はおふくろの味がいいだろう」と、おばあちゃんに習ってきたそうです。泣きました。ゲームばかりして私といつも喧嘩していた子がこんなに優しい気持ちを持っているということを知ったのも、自分ががんになったからでした。

今、日本人の2人に1人ががんになると言われてます。男性だけで見ると65%です。がんは多数派だということをみなさんにわかってもらいたい。がんになると「何で自分ががんに」と、みんな思う。そうじゃないんです。がんになったら、「あ、自分もメジャーの仲間入りか」と、そんな風に思って欲しいんです。そうしたらうろたえないで済みます。

「がんになったからもう終わり」ではなく、「がんになったからこうなれた」という人生を歩むことはできるのです。

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