2017年11月12日放送 高濱正伸さん(第2056回)
- 会場
- 吉永第二小学校(富士市)
- 講師
- 花まる学習会代表 高濱正伸
講師紹介
1959年熊本県生まれ。東京大学・同大学大学院卒業。
1993年、思考力などを重視した「花まる学習会」を設立。
その後本格的な学習方法を伝授する「スクールFC」を設立。
子どもの「生き抜く力」を育てることを重視した教育が好評。
第2056回「家庭力」
子どもの成長を大きく分けると
0~3歳、4~9歳、10~18歳、そして成人となります。
今日はいわゆる幼児期の4~9歳についてお話します。
この時期の子どもへの教育が成功するかどうかは、
学校や保育園・幼稚園の責任ではありません。
全て親の責任です。
この幼児期に大切なのは「愛」と「しつけ」、
そして子どもが夢中になって「好きな事」をやるようにしてあげる事です。
まず「愛」ですが、これは簡単な事です。
とにかく子どもにスリスリと触れる事、スキンシップです。
10歳くらいになると「あっちに行って!」と本気で嫌がることもありますが、
4~9歳の子どもは心の底では触れ合いたいと思っています。
表面的にはスキンシップが必要無いように見える子どもでも触れ合いたいのです。
例えば三人兄弟の真ん中の子。
「この子は手が掛かからない。」と親に言われている子ほど危ないのです。
私が見てきた限り思春期以降に問題を起こしたりします。
本当は兄弟を押しのけて母親を自分のものにしたいのに遠慮して、
自ら良い子になっているのです。
もっとわかりやすい例は障害を持った子どもがいる兄弟の健常児側です。
甘えたいのに甘えると申し訳ないという我慢の気持ちが生まれます。
そんな場合、親は意識してスキンシップをとるといいでしょう。
例えば、時間を決めて平等にスキンシップをとります。
三人兄弟の場合、8時50分には長男、8時55分には次男、
9時には三男といった具合に、それぞれ膝の上に乗せてスリスリする。
スキンシップは動物界で最高の安心行動です。
とにかくこの時期に「愛」を注いであげてください。
次に「しつけ」。これは「嘘をつかない」とか「朝は早く起きる」とか、簡単に見えて難しい事です。
具体的に心を病んだ子どもたちを預かった時の事ですが、
朝起きられない理由を「昨日、酷い事を言われたから。」と答えました。
「酷い事を言われた事」と「朝起きられない事」が繋がってしまうのが問題なのです。
これがまさに「しつけ」です。
これらの習慣を論理的に説明しても子どもたちは聞きません。
とにかく「朝は起きるものだ!」と理不尽を承知で言い聞かせ、従わせるのです。
「私達夫婦の間に生まれてきたのだから、これが我が家のルールだ!」と
言い切ってあげないといけません。決して親がぶれてはいけません。
幼児期にはそういう事が必要です。