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過去の放送

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2023年11月26日放送 高濱正伸さん(第2358回)

会場
御殿場市民交流センターふじざくら(御殿場市)
講師
花まる学習会代表 高濱正伸

講師紹介

1959年熊本県生まれ。東京大学・同大学大学院卒業。
1993年、思考力などを重視した「花まる学習会」を設立。
その後本格的な学習方法を伝授する「スクールFC」を設立。
子どもの「生き抜く力」を育てることを重視した教育が好評。


ポイント第2358回「愛でくるむ」

「花まるエレメンタリースクール」というフリースクールを開校してから1年半がたちました。これは、志ある若者たちが「学校を作りたい!」と集まって始めた学校です。彼らは「職員室を最高のものにしたい」、「朝から晩まで、預かった子どもたちのことをずーっと話し合っている学校にしたい」と言い、その理想を形にするためにまずはフリースクールから始めることになりました。

この「花まるエレメンタリースクール」は不登校児24人でスタートしました。いま、小中学生の不登校は全国で29万人にものぼります。以前は小学校高学年以降に多いと言われていたのが、最近では低学年でも増えているようです。なかにはADHD(注意欠如・多動症)や自閉症などといった症状名を付けられる子もいます。「この子はADHDです」と言われた瞬間に、親は「それではしょうがないですね」と受け止め、学校では「そういう病名なんですね」と、優しいけれども「特別な目」で見られる。でも、社会と折り合っているのだったら問題ではありません。

スクールは開校から1年半たち、いまでは全員が毎日通っています。これは例がないことだと思います。何がポイントなのかと言うと、「愛」です。「この人、本当に私のことが好きなんだな」と感じてもらうことが大事です。花まるエレメンタリースクールでは朝も帰りの会も「愛してるよ」で始まります。必ず誰かがそれぞれの児童を気にかけ続けています。14歳まで待てば、メタ認知ができてすっかり大人になります。一番大切なのは、「14歳まで自己肯定感をつぶさないこと」です。

僕の学習塾でいろいろな子を見てきましたが、中でもこの30年で一番走り回る子が、去年の小学1年生にいました。そのA君が珍しくゆっくりと歩いていたので、捕まえて僕の膝に座らせて後ろからギューっと抱きしめました。A君は「離して」と言いますが、「A君のこと大好きだから絶対離さない」とさらに抱きしめると、A君は「やめて」と言いながら僕に体重を預けてきました。1分くらいそのやり取りをしてパッと放したら、その日は1日中机について過ごせました。これには僕も驚きました。
また翌週捕まえて「大好きだもん」とギュッとしたら、向こうから膝の上に乗ってくるほどでした。すると、また1日机について過ごすことができ、それから丸1年、いま2年生の彼は一度も授業中に教室から出ていません。外に出たくて机をたたいたりしていますが、彼なりにこらえています。

愛を信じると、子どもはなんとか調整します。人は無条件に愛されたいし、祝福されたい。「このまま、ありのままでいいよ」といつだってみんな言われたいのです。それが失われた時にいろんな症状、不安を出してしまいます。

人間は単純です。何か人に当たるとか嫌なことをしてしまうときは、どこかしら「自分はかわいがってもらっていない」とか、「認められていない」というときではないでしょうか。子どもたちもそうなのです。

いまから世界を背負う子どもたちを、みんなであふれる愛で包み込んでいけたらいいな、と思います。

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