「今できることはやれた」東京五輪のリベンジなるか 自転車短距離アジア王者はパリ目指し 静岡

2024年04月29日(月)

地域芸能・スポーツ

自転車でパリ五輪出場を目指す太田りゆ選手

ガールズケイリンで活躍する太田りゆ選手は、自転車競技の短距離でアジア選手権2連覇などの成績を残しているが、東京五輪は出場できなかった。パリを目指す彼女は五輪選考にむけた最後のレースを終え、代表の発表を待っている(2024年4月時点)。夢舞台への出場は叶うだろうか。

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五輪レガシーは代表選手の活動拠点

東京五輪が開催されたベロドローム(伊豆市)

自転車トラック競技の聖地・伊豆市。東京五輪でトラック競技の会場になった伊豆ベロドロームを含め世界基準の練習環境が整い、国内唯一となる日本代表の活動拠点だ。パリ五輪に向け多くの代表選手が伊豆で生活しながら練習している。

ベロドローム

ここで今、メダル獲得に向けて期待が高まっているのが、「中距離勢」だ。

中距離は合計3種目あるが、最も多い4人で速さを競う「チームパシュート」で日本の出場枠を獲得できればパリ五輪では3種目全てに出場できる。このため男女とも代表組はこの種目に力を注いできた。

中距離チームパシュートに期待

チームブリヂストンサイクリング

チームパシュートで32年ぶりの出場を目指す男子代表は、全員が三島市を拠点とする「チームブリヂストンサイクリング」のメンバーだ。ブリヂストンサイクリングは伊豆市やロードレース競技の会場になった小山町に近いため、東京五輪を控えた2018年に活動拠点を三島市へと移した。

窪木選手「目標はメダル」

パリ五輪のチームパシュートには五輪経験者の窪木一茂 選手と橋本英也 選手という経験豊富な2人に加え、成長著しい若手を含めた5人で挑む。

出場権をかけた大会を前に窪木一茂 選手(リオ五輪出場)は「パリ五輪には出場できる可能性がかなり出てきているので、あとはメダルを取れる位置まで上げることかな」と、また橋本英也 選手(東京五輪出場)は「(ブリヂストンの)チームメイトみんなで行ける五輪の舞台を目指すことになりそうでとてもワクワクしている」と話していた。

梶原悠未選手

一方、チームパシュートで史上初の出場を狙う女子代表。

チームのエースで東京五輪の銀メダリストの梶原悠未 選手は伊豆市の隣の伊豆の国市に住む。

梶原選手は「日本の女子のレベルが上がって強い選手、若い選手が入ってくれて、みんなで日本新記録を更新し続けながら、初の五輪出場というところが見えてきた」と初出場に自信をのぞかせた。

「一番強い」男子はメダル目標

2024年2月時点の五輪ランキング

五輪出場はランキングの上位10チーム。2024年2月の時点で男子は安全圏内の5位だが、女子は出場枠ぎりぎりの10位となっている。

男子はパリを見据えて現在地を図るため、女子は出場枠を獲得へ…共にテーマを持って迎えたのが五輪選考を兼ね2024年3月に香港で開かれた国別対抗戦「ネーションズカップ」だ。

チームパシュートの男子日本代表

男子代表はいきなり山場を迎える。予選1回戦で、相手はランキング1位の優勝候補・ニュージーランド。

スタートからスピードに乗った日本。中盤で一度は逆転されるが、後半に入ると再び巻き返し、強豪国から金星をあげた。3分48秒127とこれまでのアジア記録を2秒以上も更新する好タイムを叩き出し、予選1位で決勝に進出した。

橋本英也選手

その後、惜しくも決勝で敗れ銀メダルとなったが、パリでのメダル獲得を期待させる結果となった。

橋本英也 選手:
お互いに良い刺激をもらっていて、これまでの中で一番強い状態であると思っているので、チームメイトには感謝したいし、パリ五輪がとても楽しみ

女子は五輪初出場が決定

チームパシュート女子日本代表

一方、出場枠を争う女子代表も予選を突破し決勝に進出。

メダル獲得をかけたオーストラリア(ランキング3位)との3位決定戦では、逆転劇を見せる。序盤にリードを許し苦しい展開となるが、レースの折り返しとなる2キロ地点でスピードが落ちてきたオーストラリアをとらえて逆転に成功、そのままゴールし銅メダルを獲得。

この結果、ランキングは出場権ギリギリの10位から6位に浮上し、出場枠を大きく引き寄せた。

梶原悠未選手

梶原悠未 選手:
しっかりチームワークを高めてコミュニケーションをとって、みんなで力を合わせてオリンピック出場枠獲得を目指していきます

2024年4月時点でチームパシュートは男女ともパリ五輪出場が確定した。

傷心を伊豆の自然に癒されて

太田りゆ選手

ニッポン中距離勢の活躍に対して、短距離勢でひと際パリへの思いを燃やす選手が太田りゆ選手だ。

これまでアジア選手権2連覇など成績を残してきた太田選手だが、前回の東京五輪では控えに回り夢舞台への出場は叶わなかった。だからこそリベンジに燃えるパリ五輪だったが結果が振るわず苦しんでいた。

太田選手のインスタグラムより

太田選手は「(パリ出場を)大事に思うあまり、緊張を上手く使えればとてもいいものになるのですけど、その時(前回の国別対抗戦)は恐怖という、あまりよくない形になっちゃったなと思う」と、前の試合を振り返る。

そんな太田選手の気持ちを支えたのは伊豆の自然だった。太田選手は「南伊豆に車でドライブに行って、河津桜がとてもきれいな時期で、菜の花もたくさん咲いていて、私は知らずに行ったんですけど、すごくきれいなものを見られて心がとてもリフレッシュさした」と話す。

「今できることはやれた」

三島市でのパブリックビューイング

その彼女にとってオリンピック選考最後のレースとなったのが3月の国別対抗戦だ。

太田選手が所属するチームブリヂストンサイクリングが活動拠点にしている三島市ではパブリックビューイングが開かれ、好タイムを信じるファン約200人が熱戦を見守った。

太田りゆ選手

挑んだのは日本でも馴染みのある「ケイリン」種目で、普段ガールズケイリンで腕を磨いてきた成果が期待された。

短距離界は体格に勝る欧米の選手が有利といわれるが、粘りのレース展開で敗者復活戦を勝ち上がって9位に入り、地元ファンの期待に応えた。

三島市で見守った市民は「選手がすごく頑張っていて、パブリックビューイングの応援が届いたのかな」「限界を超えている選手が素敵」「個人的には太田りゆ選手に(パリ五輪に)出てほしい」と“地元選手”の応援に熱が入る。

太田りゆ選手

太田りゆ選手:
「終わった」と思っています、ホッとしている。結果は最高に望んだものではなかったけど、今できることはやれた

太田選手が出場した「ケイリン」で日本は出場枠を獲得したが、誰が出場できるかはまだ決まっていない(2024年4月時点)。

メダル獲得し“地元”でパレードを

ネーションズカップ香港の成績

2024年3月の国別対抗戦ネーションズカップ香港で日本勢は好調だった。12種目中9種目で計10個のメダルを獲得した。特に男子のスプリントとケイリン、女子のオムニアムとマディソンは金メダルだ。

ベロドロームで練習する選手

東京五輪から3年。「自転車王国しずおか」で力を磨いた選手たちは、“地元”にメダルを持ち帰るため遠く離れたパリに向かって走り続ける。

窪木一茂 選手:
パリ五輪でメダルを獲得して三島市内でメダル獲得パレードが開かれるように頑張ります。三島市の皆さんも静岡県の皆さんも、ぜひ応援よろしくお願いします

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