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2012年4月14日放送 堀田力さん(第1783回)

会場
菊川文化会館アエル(菊川市)
講師
さわやか福祉財団 堀田力

講師紹介

1934年京都府生まれ。
京都大学法学部卒業。
大阪地検特捜部、在米日本国大使館書記官を経て、
東京地検特捜部検事としてロッキード事件を担当。
1991年に57歳で退職後、弁護士・福祉の道へ。


ポイント第1783回「ふれあいの力」

「ふれあい」。
当たり前のようですが、これが最近なくなってきました。
人が冷たくなり、東京で暮らしていると近所と話もしないのです。

町を歩いてもそうです。
先日ある本屋さんで、リュックを背負った女性が、
地下鉄の駅はどこかと店の若い女性に尋ねたら、その女性は一言だけ、「あっち」。
私が「あっちじゃわからないよなあ」とつぶやくと、
その女性は「ここは道を教える場所ではないから」と言い、
その店の主人と思われる中年の女性も、たしなめるのではなく、
「そうね、今度はそう張り紙しておこうか」と言いました。
私はそれ以来、その本屋に行くのをやめました。

私も検事だった若いころは、ふれあいや助け合いなど考えてもみませんでした。
30歳代の後半になって、外務省に出向し、アメリカに外交官として渡りました。
妻と小さい子ども二人を連れて行くので、狩猟民族と言われる国で、
子どもがいじめられるのではと不安でした。

しかし、ワシントンの郊外の一軒家を借りて住み始めたらすぐに、
子どもたちはすっかり近所の子と仲良くなり、
うちの子は日本語、あちらは英語でウルトラマンの真似などして遊んでいました。
そこには6軒の家があり、庭は垣根もなくすべて芝生でつながっていました。
子どもたちは行ったり来たり自由に走り回りました。

私は、外交官で金曜日はお客がたくさん来るので、車を置かせて欲しいと頼むと
「どこにでもおいて下さい。いちいち断らなくてもいいですよ」と言ってくれました。
子どもが病気をしたとき、困って夜遅くに電話しても、どの病院がいいか、
どこがダメかまで詳しく教えてくれました。
個人主義の国ですが、そうした絆があったのです。

日本でも京都の長屋にそんなものがあります。
裏の庭は共通で、子どもはどこの家にも入って行き、かわいがってもらいます。
お母さんは子どもがいないと思っても心配しません。買い物も断りなく行きます。
これは子どもの成長にもよく、人とうまく付き合う能力が自然に育ち、社会に出ても安心です。

たくさんの人に交わって、自分で学べる環境をつくることが、ふれあいの力となるのです。

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