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過去の放送

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2012年7月21日放送 大豆生田啓友さん(第1797回)

会場
清水白百合幼稚園(静岡市)
講師
玉川大学教授 大豆生田啓友

講師紹介

1965年生まれ。青山学院大学大学院を修了後、
青山学院幼稚園教諭などを経て現職。
専門は乳幼児教育学、保育学、子育て支援。
2男1女の父。子育て本を中心に著書多数。


ポイント第1797回「遊びが学び」

子どもが幼稚園や保育園で遊んでばかりいるということをどう思いますか?
私は幼稚園の教員を経験し、そのあとも現場に足を運んで見てきました。

ある幼稚園に「アッくん」と言う3歳の男の子がいました。
その幼稚園は、ハサミや空き箱など、いろいろなものを自由に取り出せるようになっていました。
ある日、友達が空き箱で剣を作って戦いの遊びをしていました。

とても盛り上がっていましたが、アッくんはつまらなそうに座っていました。
私はその様子をビデオに収めながらどうなるのかと思っていましたが、
やがてアッくんは「よし!」と言って教材の所に行き、ハサミと空き箱を持ってきました。
でも、不器用なアッくんはなかなかうまく剣を作れません。
「アレー!」とか「アー!」とか言って悪戦苦闘しています。

それでもやっと25分かけて完成させると、仲間のところへその剣を持って飛び込んでいきました。
アッくんに気付いたある男の子が「アッくんも作ったんだ。アッくんの剣、カッコわるいなー」と。
そう言われたアッくんはその場で固まってしまい、剣をゴミ箱に捨てて、元の場所に戻ってきてしまいました。
ビデオを撮る私もなんだかとても切なくなりました。

しかし、アッくんはしばらくするとまた、「よし!」と言って、再び剣を作り始めました。
私は「がんばれ」と心で叫びながらも、一つ心配なことがありました。
それは先生がさっき「そろそろ片付けようね」と言っていたことです。
剣を新たに作り始めたアッくんでしたが、先生はそのことを知りません。
そして、やがてほかの場所から戻ってきた先生は「アッくん!聞こえなかったの?」と諭しました。
アッくんは仕方なく、片付けをし、その日は剣を作ることができませんでした。

先生はそのあと私に経緯を聞いて、びっくりし、「明日は私が応援します」と言いましたが、
その心配もよそに、アッくんは翌日ちゃんと自分で「今日こそは作ろう」と決めていました。

子どもにとって遊びとは、自我を育てたり、チャレンジ精神を養ったり、
失敗を乗り越えると言った数々の大事な経験が詰まっているのです。

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