2017年11月26日放送 高濱正伸さん(第2058回)
- 会場
- 吉永第二小学校(富士市)
- 講師
- 花まる学習会代表 高濱正伸
講師紹介
1959年熊本県生まれ。東京大学・同大学大学院卒業。
1993年、思考力などを重視した「花まる学習会」を設立。
その後本格的な学習方法を伝授する「スクールFC」を設立。
子どもの「生き抜く力」を育てることを重視した教育が好評。
番組で紹介した本
「父親ができる 最高の子育て」 著:高濱正伸(ポプラ社)第2058回「没頭力とパートナー力」
幼児期と言われる4~9才の間、
子どもに「好きな事」を見つけさせるのはとても大切な事です。
ある女性編集者が自慢気にこう言いました。
「高濱さん、私、小学校から高校まで国語のテストだけはずっと満点でした。」と。
そこで「影響を受けた国語の先生でもいたのですか?」と聞き返すと、
彼女の答えは「ノー」でした。
彼女がなぜ満点を取り続けられたのか理由を聞いてみると、
幼児期の絵本から始まり、あらゆる本を読み続けてきたというのが答えのようです。
彼女の国語力は幼児期に既にできあがっていて、
幼児期以降はその国語力を発揮していただけだったのです。
本を読んでいる時は周りの音も聞こえないくらい没頭していたそうです。
私は元々数学を専門に教えていました。
教え子の中には数学オリンピックで優勝した子もいます。
数学好きの子どもに共通して言えるのは、問題を解く事自体が好きだという事です。
大学に入ってからでも「大学への数学」などの問題を解いています。
「なぜそんなにたくさんの問題を解くの?」と聞くと、
「だって面白いんだもん。」という答えが返ってきました。
そして、もう一つ共通しているのが、
子どもの頃から「パズル好き」だった人が多いという事です。
パズルは数理的思考力が発達します。
計算が早い遅いは関係ありません。答えをいかに考えて出すか、
またその考える過程がいかに楽しいかを知っているのです。
この様に一つの事が好きで、とことん突き詰めていく力が「没頭力」です。
そして「没頭」から「好きな事」を見つけていくのです。
「没頭力」に加えてもう一つ大切なのが、
周りの人と力を合わせて物事を成し遂げる「パートナー力」です。
私の息子は重複障害を持っていて、一人で何かを成し遂げる力はありません。
私は10年余り、非常に真剣に子どもの面倒を見てきました。
私自身は大学受験で三浪し、大学院を卒業するまで四年留年しています。
29才まで真面目に物事に取り組んだ覚えがありません。
面倒を見てあげなければ生活できない息子の存在が、
そんな私に真面目に生きる姿勢を教えてくれたのです。
障害を持つ人がその人単体で能力を発揮できなくても、
親や周りの人と組む事によって影響力を持ち、人を動かし、
大きな力となる事があります。
これを私は「パートナー力」と呼んでいます。
「没頭力」を身に付け「パートナー力」によって成長していく。
これは子どもにとって大切な事だと思います。