2019年1月20日放送 高濱正伸さん(第2113回)
- 会場
- 第一ひかり幼稚園(静岡市)
- 講師
- 花まる学習会代表 高濱正伸
講師紹介
1959年熊本県生まれ。東京大学・同大学大学院卒業。
1993年、思考力などを重視した「花まる学習会」を設立。
その後本格的な学習方法を伝授する「スクールFC」を設立。
子どもの「生き抜く力」を育てることを重視した教育が好評。
番組で紹介した本
「こころと頭を同時に伸ばす AI時代の子育て」 監修:高濱正伸 著:井岡由実(実務教育出版)第2113回「十人十色の育て方」
人工知能が急激に発達したこの時代、このまま技術が進化すると
人間の仕事が無くなっていくのではないかと言われています。
そんな時代に私たちは子どもをどう育てていけばいいのでしょうか?
まずベースになるのが「基盤力」です。
具体的には「体力」「ことば」「規範」「知識」です。
特に「規範」は大切で、約束を守る事や、やるべき事をしっかりやるという事です。
これらは皆さんが今までも学校で習ってきた基本的な事で、当然身につけていなければなりません。
次に大切なのが「思考力」。これは簡単に言うと「見えないものが見える力」です。
頭の良さは、他の人に見えないものが見えるかどうかの違いだと思います。
それは要点だったり、相手の言いたい事だったり、物事の本質を見抜く力です。
この「思考力」は幼児期に差がつきます。
最近では「非認知能力」という言葉で注目されていますが、
幼稚園や保育園時代にまず「外遊び」をさせる事が大切です。
例えば見えない補助線が浮かぶかどうかの能力はドリルを嫌々繰り返してもなかなか身に付きません。
自然の中で自由に子どもを遊ばせると想像力が発達すると思います。
そして「経験総量」も大切です。
例えば「葉っぱ」と一言で言っても、
雨に濡れていればヌルヌルしているし、乾いていればカサカサしている。
これは頭の中で考えるのではなく、実際に触ってみて経験して初めて分かります。
この経験数が多ければ多いほどいいという事です。
他には、「言葉の厳格さ」も大切です。
例えばお父さんが言葉に厳格な人だと、家庭内で子どもが言葉使いを間違えたらすぐに指摘します。
言葉の環境がしっかりしている家庭で育った子どもはしっかりしています。
これは完全に後天的な差なのです。
これらが整った環境で幼児期を過ごし、思考力を身に付けた子どもはしっかりした大人に育つと思います。
しかし皆が皆、このような育て方をされている訳ではありません。
お母さんは子育てに正解を求めて悩んでしまいますが、これからの時代は多様です。
「三人いたら三様、十人十色の育て方を目指すといいのだ。」と考えると
少し楽になるのではないでしょうか。