2020年1月19日放送 田中ウルヴェ京さん(第2162回)
- 会場
- 沼津市民文化センター(沼津市)
- 講師
- スポーツ心理学者・博士 田中ウルヴェ京
講師紹介
ソウル五輪シンクロ・デュエット銅メダリスト。米国大学院修士修了(スポーツ心理学)。慶應大学にて博士号取得(システムデザイン・マネジメント学)。慶應義塾大学特任准教授。トップアスリートや経営者など幅広く心理コンサルティングに携わる。一男一女の母。
第2162回「子育てに役立つメンタルトレーニング」
私には、二人の子どもがいます。長男は20才、長女は17才になりました。
二人を育て始めた頃、子育てには「資格」というものがないので、私は大変戸惑いました。
何が正しいのかも分からず、毎日ストレスの連続だったと、今でもはっきり覚えています。
しかし、その頃、幸いにも私はスポーツ心理学を学んでいたので、
それを子育てに応用できないかと考えました。
そして私なりに実践してみました。
子育てには、大きく分けて3つの大切な事があると思います。
まずは、子どもの周りにいる大人、
つまりお父さんやお母さん、あるいはおじいちゃんやおばあちゃんが、
子どもの「セキュアベース」になろうという考え方です。
日本語でいうと「安全基地」という意味です。
例えば、子どもが幼稚園や学校から家に帰って来た時、
「家は安全だな、安心だな。」と感じる事です。
勿論、帰る家がある事自体が生活の面でまず安心なのですが、
ここでの「安全基地」とは「心の面での安全、安心」という意味です。
そして2つ目に大切なのは、
「安心」は人間の「感情」の一部分を指すのだと理解する事です。
人がどんな感情になっているかを考える時、4つのゾーンに分けて考える理論があります。
横軸は、プラスの感情なのか、マイナスの感情なのか。
縦軸は、心臓がドキドキしているかどうか。
つまり、交感神経が働いているか、副交感神経が働いているかの違いです。
まず、心臓がドキドキしている時ですが、
それがプラスに働いている時は「楽しい」というゾーンになります。
心臓がドキドキしていてマイナスに働いている時は「怒り」とか「焦り」の感情です。
次に、心臓がドキドキしていない時。
プラスの場合は「安心」とか「落ち着く」と言った感情です。
マイナスに働いている時は「悲しい」とか「落ちこみ」といったゾーンになります。
この4つの感情のゾーンを理解する事が大切です。
周りの大人が「安全基地」になり、子どもをどの感情のゾーンに導けば良いのか、
それは「安心」「落ち着く」というゾーンです。
そのためには、3つ目の大切な事があります。
私自身の経験も交えながら、子育てに役立つメンタルトレーニングについて、
皆さんと一緒に考えてみたいと思います。