2020年5月 3日放送 川村妙慶さん(第2177回)
- 会場
- 菊川文化会館アエル(菊川市)
- 講師
- 僧侶・アナウンサー 川村妙慶
講師紹介
福岡県生まれ。真宗大谷派僧侶。
関西を中心にラジオ番組のパーソナリティーなどをつとめる。
ホームページで日替わり法話を毎日更新し、
メールでの悩み相談にも応じている。
番組で紹介した本
「人生後半こう生きなはれ」著:川村妙慶(講談社)第2177回「嫌いな人との付き合い方」
みなさん、仲が良い人もいるでしょうし、残念ながら苦手な人、
はっきり言えば嫌いな人もいるかもしれません。実は、私にもいます。
あるホームパーティーに誘われた時のことです。
仲間6人でそのお宅にお邪魔しました。
ご馳走とお酒で盛り上がった時、突然、訪問客の私たちひとりひとりに厳しい指摘がありました。
「あなたはそういう所が悪いのよ。」「こういう所、気をつけなさい。」と。
私もいろいろなことを言われて大変落ち込みました。そして次は、ある人の悪口大会になったのです。
そのあとは食事もお酒もおいしくなくなって、
帰りの電車の中で「何がしんどいのかな?」と考えました。
そして、言葉のキャッチボールができない、それが辛いのだと思いました。
相手からきつい言葉を投げられた、また嫌味などの変化球を投げられたら、なかなか受け取れません。
受け取ったと思ってもきつく当たります。その言葉が残りますよね。
人を嫌いになるのは、こういう瞬間なんだ。もう会いたくないと思ってしまう瞬間なんだと感じました。
こうした人間関係は、今に始まったことではありません。
2500年前、お釈迦様の時代にもあったのです。
お釈迦様は、私たちに「四苦八苦」の苦しみを教えてくださいました。
四苦八苦の4つの苦しみは、「生・老・病・死」です。
「生」生まれる苦しみ、生きる苦しみ。「老」老いる苦しみ。「病」病気になる苦しみ。
「死」亡くなる苦しみ、と同時に最愛の人を亡くす苦しみです。
残る4つの苦しみの中に「怨憎会苦(おんぞうえく)」というものがあります。
ひと言でいえば、嫌いな人と会わなければならない苦しみです。
どんな時代でも気の合う人だけではない。嫌いな人、絶対に許せない人もいるのだということです。
でもその人を一生憎しみ続けるのでしょうか?自分が疲れてしまいますよね。
きょうは、「智者遠離(ちしゃおんり)」、「負けて信を取れ」といった
仏教の教えを例に解決策を考えてみます。