2021年6月27日放送 樹原涼子さん(第2236回)
- 会場
- テレビ静岡(静岡市)
- 講師
- 音楽教育家 樹原涼子
講師紹介
熊本市生まれ。武蔵野音楽大学卒業。
1991年より順次出版されたメソッド「ピアノランド」がベスト&ロングセラーに。
作曲・執筆の傍ら、セミナーやコンサート、音大での特別講義などを通じ、
ピアノ教育界に新しい提案と実践を続けている。
第2236回「成功のカギは?」
ピアノが弾けるようになるために大切なのは「事前の準備」です。
いきなりピアノを弾いてもうまくいきません。
第一段階でピアノを弾くための要素を先に学び、それから弾き始めると楽しくて、
そして上手くいくのがうれしくて良い循環につながります。
まずピアノを例に説明します。
ピアノを弾く時、最初に楽譜を目で見てどんな音、どんなハーモニーなのか理解します。
そして指を動かす指令を出していきます。
ピアノを弾くことで音が生まれます。
この時、耳は思い描いた音が出ているかチェックします。
さらに目はその先に弾く楽譜を見ています。
ピアノを弾くということは
現在と過去と未来の時間をコントロールしながら演奏を続けていくことなのです。
うまくいかない場合は、必要な準備の中の何かが欠けていたり、
忘れてしまっていたりするのかもしれません。
ところが子どもが一生懸命にやっているのにうまくいかないと
「何で弾けないの?」「あと10回やればできるんじゃない?」
ついつい言ってしまいます。でもちょっと待って下さい。
事前に必要な準備のうちのどれかがわからない、習っていないのかもしれません。
上手くいく人は必ず種をまいています。種まきをしないで収穫はできません。
こうした事前の準備は、普段の生活の中でも重要です。
例えばカレーをつくる時、ニンジン、玉ねぎ、じゃがいも材料が揃っていれば簡単です。
でも揃っていなければ買い物に行かなければなりません。
また材料は揃っていても大きさがバラバラでニンジンが生煮えだったり、
じゃがいもがとけてしまったり、悲しいケースもあります。
それぞれの材料がほどよい形で仕上がっていくためには、やはり準備が必要です。
子どもたちが何かを始めようとしている時も
「それには何が必要なの?」と聞いてみて下さい。
家で宿題をしている時も「何が必要?」と問いかけることで
宿題のプリントだけでなく、教科書を見てみたり、関連の本を持ってきてみたり...。
必要なものを自分でそろえる習慣が自然に身に付きます。
これが第一段階になってステップアップを繰り返していけるのです。
ピアノも勉強もスポーツもこうした考え方が基礎になって
末永く、上手に成長して行けるのではないかと思います。
小さな積み重ねとそれがお互いに結びついて生まれる
統合力、物事を観察しながら大切に準備をしていくこと。
生活も子育ても事前の準備を少し見直すことでステップアップして行けたらと思います。