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過去の放送

過去の放送

2022年2月 6日放送 住田裕子さん(第2266回)

会場
沼津市民文化センター(沼津市)
講師
弁護士 住田裕子

講師紹介

兵庫県出身。東京大学法学部卒業後、検事に。
1988年、女性初の法務大臣秘書官となる。
1996年、弁護士に転身。テレビ番組などでも活躍。
NPO法人長寿安心会の代表も務める。


ポイント第2266回「共感性を育む」

社会の中で生きていくうえでとても大切なもの、それは「共感性」です。

人の喜びや痛みを自分のことのように共有できる。

そして相手のことを思いやり、相手の立場から考える...

人の心と心をつなぐ感性です。

同じ目線、同じ立場に立っての「心の交流」を意味しています。


EQ(心の知能指数)をご存じでしょうか?

アメリカのハーバード大学の先生が

IQ(知能指数)の高い生徒が必ずしも社会で活躍するとは限らない

という状況を説明するときに使った考え方です。

EQ(心の知能指数)には頑張る力、熱意、意欲、忍耐力、

そして共感性も重要な要素のひとつとされています。


いまの若い人たちは周囲の環境や社会との関係性が大きく変わってきています。

「第一次ベビーブーム」といわれた1943年生まれは同世代が232万人。

高校生のお父さん世代、1971年生まれはおよそ200万人。

いまの高校生、2003年生まれは112万人。

2020年に生まれた子どもは84万人。

少子化は進む一方です。

高校生の同世代の人口は祖父母世代の半分以下。

このため受験にしても、就職活動にしても競争率や環境はまったく違っています。


もうひとつ気になるデータがあります。「自己肯定感」です。

自分で自分自身を認めることができるかという問いかけです。

アメリカ、フランス、イギリス各国で大半の若者が自分自身を認めています。

ところが日本の若者の自己肯定感は45.1%、

「自分に満足できる」という回答は半分以下にとどまっています。


豊かさという面では日本のレベルは高いと思います。

欲しいものは手に入るし、学校に行くこともできます。

日本の場合、自分を評価する「ものさし」が違うのかもしれません。

勉強ができる、スポーツが得意、ルックスがいい。

目に見えるもの、数字で表せるものしか評価の対象になっていないのではないでしょうか?


本人たちだけでなく学校も周囲も、

目に見えない感性「共感性」も評価に加えて欲しいと思います。

人とつながって気持ちがわかり合えて、成功したら一緒に喜びを分かち合う。

社会で活躍できるのは、チームをまとめてリーダーになれる人、つなぎ役になれる人、

自分の役割を認識したうえで「ONE TEAMの精神」=「共感性」を持ち合わせている人です。

IT技術が進歩した社会、SNS時代が到来しています。

しかしSNS上のやりとりは結局、

自分の言いたいことだけをそれぞれが発信している一方通行に見えます。

「痛い...」と泣いている子どもを見て

「いたいの?」と文字を発信しても意味はありません。

「痛いの?大丈夫?」穏やかな口調とともに

手を差し伸べる、抱きしめる「肌感覚」が大事なのです。

「共感性」を育むためにはやはり対面での情報交換、

「Face to Face」での交流の場が必要です。

コロナ禍が終わった後、こうした交流が深まっていくことを心から期待したいと思います。

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