テレしず ホーム > テレビ寺子屋 > 吉岡たすくの軌跡 ~先生あのね~

テレビ寺子屋毎週日曜日 午前6時30分~

トップへ戻る

公開録画会場 随時募集中!

全国の放送予定はこちら

  • お知らせ
  • 寺子屋の歩み
  • 次回の寺子屋
  • 講師紹介
  • 過去の放送
  • 会場募集
  • ご意見・ご感想

過去の放送

過去の放送

2022年4月10日放送 吉岡たすくさん(第2275回)

会場
テレビ静岡(静岡市)
講師
児童文化研究家 吉岡たすく

講師紹介

大阪で小学校の教諭・校長などを40年以上務める。
幼児教育と童話を研究するかたわら
執筆活動と全国各地での講演活動を続けた。
番組開始当初からレギュラー講師を22年間務め、
小学校教師の経験を元に独自の子育て論を展開。
1998年に番組を降板し、2000年5月逝去。


ポイント第2275回「吉岡たすくの軌跡 ~先生あのね~」

今回のテレビ寺子屋は、児童文化研究家の吉岡たすく先生のお話を振り返ります。吉岡先生は、1977年の番組スタートから20年以上にわたってレギュラー講師を務めた番組の顔。その想いは今の子育てや教育に通じるところがあります。

<お母さんは忘れもの名人> ~子どもたちの文集から~
お母さんはお店で買ったものをしょっちゅう忘れます。電話ボックスに財布を忘れます。ここに書ききれないくらいです。そしてついに子どもまで忘れてきました。妹とスーパーに行って妹を忘れて帰ってきました。ウソみたいな本当の話です。

私の学級でも誰かがお母さんの話を始めると活気が出ます。普段あまり話さない子も参加して話が盛り上がるのです。

<教室の中のドラマ>
小学校1年生を担任した時の出来事です。朝、やえちゃんという女の子から「学校を休みます。」と連絡がありました。夕べからお母さんの具合が悪くて3歳の弟の面倒を見るために休ませてほしいということでした。クラスの子どもたちに説明すると「弟を連れてくればいい。」という提案が。そして教室で弟の面倒を見ることになりました。すると子どもたちにもいろいろなタイプがいて、進んで世話をしているのは大体、末っ子かひとりっ子でした。結局、お母さんが良くなるまで3日間、弟の面倒を見ました。最後の日には「お母さんが病気になったらまたおいで...。」と別れを惜しみました。私にとっては想定外の客でしたがいつもと違う子どもたちの心の動きがよくわかる出来事でした。

もうひとり想定外の客がいました。1年生で転校してきた子のお母さんです。その子はお母さんがいないと学校に来ません。お母さんの姿が見えなくなると帰ってしまいます。そこでお母さんに一緒に来てもらうことになりました。毎日、教室に来るお母さん、椅子を用意してあげると編み物を始めました。そのうち子どもたちの勉強も見てくれるようになりました。「おばちゃん教えて。」子どもたちが聞きに来るのです。
お母さんの登校は2年生になっても続きました。そして2学期、ふと気づくとお母さんがいません。でも子どもは来ています。その日の放課後、お母さんがひとりで学校に来ました。子どもから「もう学校に来なくていい。ひとりで行く。」と言われたそうです。お母さんは家にいてもクラスの子どもたちが気になって仕方がなく、寂しさを感じていました。子どもたちも名残惜しくて「お別れ会」を開きました。お母さんは最初から最後まで泣きっぱなし。子どもたちも泣いていました。その姿をみて子どもに寄り添って一緒に過ごすことの大切さを教えてもらった気がしました。

教室の中では様々なドラマが生まれます。それがまた教育だと私は思います。

ページの先頭へ

ページの先頭へ