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過去の放送

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2022年5月 8日放送 高濱正伸さん(第2279回)

会場
テレビ静岡(静岡市)
講師
花まる学習会代表 高濱正伸

講師紹介

1959年熊本県生まれ。東京大学・同大学大学院卒業。
1993年、思考力などを重視した「花まる学習会」を設立。
その後本格的な学習方法を伝授する「スクールFC」を設立。
子どもの「生き抜く力」を育てることを重視した教育が好評。

番組で紹介した本

『あんしんえほん はじめての「よのなかルールブック」』監修:高濱正伸(日本図書センター)

ポイント第2279回「揺るがぬ規範」

夫と妻それぞれの常識のぶつかり合い。例えば箸の持ち方や食べ方など、これまであたり前だと思ってきたところですれ違いは起きます。そもそも出身地や文化、育った家庭が違う2人が同じ家に住むのですから違いがあるのは当然です。お互いの意見をすり合わせて、子育ての方針、我が家の家訓、「私たちはこう生きます。」という軸を明確にしておくことが大切です。

これまでに大勢の子どもたちを見てきましたが、なかでも印象に残る子がいます。ひとりは小学2年の頃から東京にひとりで通っていた名古屋の女子です。彼女がまだ中学2年のとき、サマースクールで一緒にカンボジアに行きました。帰国後カンボジアで洪水が起き、私たちが訪れた村の近くも被災しました。すると彼女は単身で再びカンボジアに向かい、ボランティアに参加したそうです。驚くほど迅速な行動でした。彼女はいま海外の大学の医学部を目指していて「世界の平和のために貢献したい。」とがんばっています。

もうひとりは京都大学に通うK君。彼は剣道という軸を持っていて、まったくブレない性格です。私の講演が京都であると必ず会場まで来てくれて、講演が終わると「駅まで送らせてください。」と改札まで見送ってくれる。本当に「できた子」です。

この2人の家庭には共通点があります。どちらも規範がしっかりしているのです。名古屋の女の子の家には3つのルールがあるそうです。≪①挨拶、②「はい」という返事、③靴を揃える≫。このルールは必ず守る、それ以外は自由です。

K君のお母さんは一度も怒っているところを見たことがない「ニコニコしたお母さん」です。ところがウソに関してはとても厳しく、K君が言うには「こんなに怖い人は見たことがない。」という一面があるそうです。

この2人は私がみてきた生徒の中でも『人を引き付ける魅力』にあふれていました。この子たちが育った家庭は、常に規範がしっかりしていてシンプル。そして「不動」=ブレがないのが特徴です。

規範やルールは少なくても構いません。ただ、決めたことに対して親がブレない「不動」の姿勢を示していくことが大切です。その姿をみて子どもたちは成長します。

とはいえ、家庭のルールが決められなくても焦ることはありません。「ひとつ、ふたつ、...ここのつ」と『つ』の付く1歳から9歳の子どもは神の子と言われ、至らない親でも許してくれます。完璧な親を目指すのではなく、できる範囲で子どもたちと向き合ってください。

そして11歳から18歳の思春期の子どもたち。この年頃は自分の力で伸びる時期でもあります。そこで私は『日記』を勧めています。日記の中に本音をぶつけるのがおすすめです。そしてもう一つのキーワードは『憧れ』。人生の師匠をみつけることです。目標や憧れの存在があると、自分の軸を自分で決められるようになります。こうしたゆるがぬ規範、生きる軸が魅力あふれる人生へと導くのです。

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