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過去の放送

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2022年12月 4日放送 高野優さん(第2309回)

会場
大井川公民館(焼津市)
講師
育児漫画家 高野優

講師紹介

育児漫画家・イラストレーターであり、三姉妹の母。
2015年に、ベストマザー賞文芸部門受賞。
漫画を描きながら話をする独特なスタイルで
子育てに関する講演を行っている。

番組で紹介した本

「HSP!最高のトリセツ 気にしなくて大丈夫、気にしたって大丈夫」著:高野優

ポイント第2309回「子育てはトライアスロン」

私には3人の娘がいます。3人とも成人になった今、とても感慨深いです。高い山を登り、ようやく山頂にたどり着いて万歳と乾杯をした後、ひとりで荷物をまとめてゆっくり下山して行くような心境です。子育てはトライアスロンのような毎日でした。

長女が幼い頃の話です。生まれた時から反抗期のような娘でした。私も一人目の子育てで「しっかり育てなければ...」と肩に力が入っていました。しかしよく考えると私自身がしっかりしている訳でもないのに、子どもが産まれた瞬間に「いい母親になろう」と思うのは不思議です。

長女は起伏の激しい子でした。電車に乗るたびに泣き出すので、周りの人に迷惑が掛からないように一度降りて泣き止んだらまた乗る、その繰り返しです。いつまでも目的地に着けない罰ゲームを続けているようでした。結局、私はいつも怒ってばかり。娘は怒られてばかりで、泣き疲れて眠ります。私は怒り過ぎたことを反省して、娘の枕元でいつも同じ言葉を繰り返していました。「あしたからは怒らないお母さんになるからね」。でもそれは私が自分に都合のいい言い訳をしていただけ。そしてある時、気づきました。「寝顔に謝るのではなく、起きている時に笑わせてあげることの方が大事だ」ということを。

そんな娘が少し大きくなって小学生になりました。いわゆる「ギャング・エイジ」と呼ばれる時代です。小学3~4年生頃から始まり、悪い言葉を使ったり、親に秘密を持ったり、ウソをついたりするのがこの時期です。私との会話も一日にたった4つの単語だけになりました。「ウザい、キモい、ムリ、ヤバい」です。そんな時、近所に住む高校生の子を持つ友人にぼやいたことがありました。私は友人が共感してくれると思っていましたが、答えは意外なものでした。「あ~そう、かわいいよね」。友人の子どもは高校生になった途端この4つの言葉を言わなくなり、「ウザい」は「メシ」に、「キモい」は「風呂」に、そして「ムリとヤバい」は「お金」に変わったそうです。そんな話を聞いて「棘のある言葉も期間限定かな」と思うと気持ちが楽になりました。

子育ては長丁場、トライアスロンのようだと思います。次から次へと試練がやってきて、まさに「鉄人レース」です。子育てがつらいとき手に取った育児書には「100%子どもと向き合いましょう」と書いてありました。でも365日、全力で子どもと向き合っていると息が切れてしまいます。すると余裕がなくなってやさしく接することができません。寝顔に謝る日々にならないためには、上手にかわすこと。子どもと同じ土俵に乗らないことも大事です。

子育て中に悩んだり迷ったりすることはとても大事です。子どもの成長は「あっという間」。いまの悩みが1年後にはちょっと懐かしい思い出になります。そして5年後、10年後には心にぽっかりと開いた穴を埋めてくれるエピソードになります。ゆっくりとあなたらしい子育てを楽しんでいただけたらと思います。

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