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2023年3月19日放送 田中ウルヴェ京さん(第2323回)

会場
新原小学校(浜松市)
講師
スポーツ心理学者・博士 田中ウルヴェ京

講師紹介

ソウル五輪シンクロ・デュエット銅メダリスト。米国大学院修士修了(スポーツ心理学)。慶應大学にて博士号取得(システムデザイン・マネジメント学)。慶應義塾大学特任准教授。トップアスリートや経営者など幅広く心理コンサルティングに携わる。一男一女の母。


ポイント第2323回「自分らしい人生の見つけ方」

自分らしい人生を見つけるためには、まず「自分を知る技術」を身につけることが大切です。今回は、私の子育ての経験をもとに「自分らしさの見つけ方」を紹介します。


 子どもたちが小学校低学年の頃、お風呂で一緒に「感情のおならゲーム」をしていました。きょう感じたことを言葉に出すゲームです。特に悪い感情は「おなら」と同じように体に貯め込まずにちゃんと外に出してあげます。落ち込んだきっかけも教えてもらえるので母親としては助かりました。また、感情のちょっとした動きを気にかけていると次第に心の動きがわかるようになります。

 もうひとつは「心と体をつなげるゲーム」です。私はシンクロの選手時代、筋肉を細かくコントロールしながら垂直姿勢や時には45度に姿勢を保って演技をしていました。体は感情とつながっていた方が操作しやすいのです。ところが操作できない場面があります。それは「緊張」している時です。緊張すると体がこわばってどうしてもぶれてしまいます。そんなことを子どもたちにも伝えるためにお風呂から出た後、緊張した時のようにあえて体をこわばらせ、そこから徐々に体を緩めていくというゲームをしました。これは「筋弛緩法」といってメンタルトレーニングの一種です。自分の筋肉が緩む動きがわかるようになると逆にこわばって緊張している自分に気づくこともできます。体を緩めることによって気持ちも緩めていけるようになります。緊張していたり、イラついていたりする心の状況を自分の体から知ることができます。


 子育てをしているなかで母親として気をつけていたこともあります。

ひとつは「成功経験を捨てる力」です。息子は小さい頃からサッカーが好きでプロ選手を目指していました。小学5年の頃、いくつかの強豪クラブのセレクションを受けました。その時、息子はとても楽しそうにサッカーをしていました。当時スポーツを楽しむという気持ちを忘れていた私は、その夜、家に帰ってから息子に「プロの選手を目指すのなら楽しんでいる場合じゃないのよ、真剣にやらなきゃダメでしょ」と強く言ってしまいました。オリンピックのメダリストとしての私の経験を押しつけてしまっていたのです。それからの私は新しいことにチャレンジして意識的に「自信のない自分」を作るようにしました。成功経験を捨てると子どもたちと一緒にがんばることができるようになりました。

 もうひとつは「悩む力」です。私は「これってこういうことだよね」と何でもわかったふりをしてしまう性格でした。子どもたちから何か相談されると「即答すること」がいいことだと思っていました。でも子育てに正解はありません。あえて悩むことでゆっくり考える時間ができることに気づきました。


 最後にひとつ、子どもたちから教えてもらったことがあります。子どもたちはよく「人生って難しいね」と言います。ある心理学者は、「人生は困難なものである、そのことにさえ気づけば、人生が困難であることには問題がなくなる」と言いました。もちろん困難はたくさんありますが、そういうものだと思い実際に困難に直面した時にどうすればいいか考えることができれば、自分らしい人生が見つかると思います。

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