2023年8月13日放送 高野優さん(第2343回)
- 会場
- 蒲原生涯学習交流館(静岡市)
- 講師
- 育児漫画家 高野優
講師紹介
育児漫画家・イラストレーターであり、三姉妹の母。
2015年に、ベストマザー賞文芸部門受賞。
漫画を描きながら話をする独特なスタイルで
子育てに関する講演を行っている。
第2343回「敏感さんの困りごと」
「HSP」はここ数年話題になっていて、みなさんも見聞きしたことがあるかもしれません。1996年にアメリカの心理学者エイレン・アーロン氏が提唱した概念で、大人の場合は「HSP=Highly Sensitive Person」、子どもの場合は「HSC=Highly Sensitive Child」です。きょうは「敏感さん」という言葉で統一してお話しします。
「敏感さん」は病気ではなく、右脳が活発なために、神経細胞「ミラーニューロン」の動きが活発なのだそうです。そのため、頭の中でずっと一人でノリつっこみをしたり、おしゃべりをしたりとにぎやかです。
五人に一人がこの「敏感な気質」を持っていると言われています。実は、私自身もそうです。五感が敏感がゆえに、ほかの人が気にならない音が気になったり、においが気になったり、肌触りが気になったり、日常生活で厄介なことも多いのです。そのため、「敏感さん」=「生きづらい」という言われ方が多いのですが、敏感なことは決して生きづらさまではいかないんじゃないかな、と。あくまでも私の場合なのですが、「面倒くさい」とか、「ちょっと厄介な性質だなあ」と、そんなことを思っています。
では、どうしたらいいのか。私は3つのことを実践するようにしています。
まずは「ダウンタイム」。敏感さんは、疲れるのは体ではなく心や頭なんです。だからこそ、ちょっとした刺激に弱いので、まずはゆっくりと休息を取る。
次に、「バウンダリー」。境界線を引く、ということです。簡単に言うと、ひとはひと、自分は自分ということです。「そんなの当り前」と思う方も多いと思いますが、「敏感さん」と言われる気質の方たちはできないのです。例えば、他の誰かが、別の他の誰かを怒っているとします。すると何も関係がないのに、自分が怒られているような気持ちになって、すごく落ち込みます。あと、つらいニュースや悲しいニュースを見ても、ひきずってしまいます。だからこそ、一線を引くことがとても大事だと思っています。「悲しいのは私じゃないし、怒っているのも自分じゃない」と、いつも意識しています。
そして3つめは、「一人反省会の呪文」です。例えば人と会った後、家に帰ってから、「ああ、あの言い方誤解されちゃったかな」とか、「私ばっかりしゃべりすぎちゃったかな」なんて一人反省会をいつもしてしまいます。これも気質というか癖なんです。そんな時こそ、呪文の出番です。「そもそも、相手は気にしていない」と、ちょっと開き直りにも似たような感じですが、そうつぶやくようにしています。
もし自分の持っている「敏感さん」の気質に悩んでいる方がいたら、この3つを頭の片隅に置いておいてください。さらに、「HSC」=敏感な気質を持つお子さんについてもお話しします。