2024年3月31日放送 田中ウルヴェ京さん(第2375回)
- 会場
- テレビ静岡(静岡市)
- 講師
- スポーツ心理学者・博士 田中ウルヴェ京
講師紹介
ソウル五輪シンクロ・デュエット銅メダリスト。米国大学院修士修了(スポーツ心理学)。慶應大学にて博士号取得(システムデザイン・マネジメント学)。慶應義塾大学特任准教授。トップアスリートや経営者など幅広く心理コンサルティングに携わる。一男一女の母。
第2375回「最強の味方をつくる」
自分に「最強の味方」がいると、私たちは元気になったり、何か難しい問題を解決できるようになったり、結果的にそれが社会に役立ったりします。
何か嫌だな、困ったなという時に、自分を元気にさせてくれる人、さらに「その問題ってこういうことだよね?こういうふうにやったらいいんじゃない?」と、冷静に一緒に考えてくれる人、そして、自分が「この人にいて欲しい」と思った時にはすぐにいてくれる人。誰でしょうか?
それは、「自分」です。自分自身を「自分の最強の味方」にしてしまおうということです。
自分の心の言葉は、時には敵になることもありますね。味方にするとはどういうことでしょう。本当の自分の心の声に気づくこと。つまり、敵だろうと味方だろうと自分の中に誰かがいて、そのことが自分に悪影響を与えることにも気づく。そこがポイントです。実際に、気分が良くない時、難しい問題に対してイライラしていたり、不安になったりしている時に心の声がネガティブに影響するということは、私たちの感覚だけでなく、神経科学の研究でも分かっています。感情に影響されてしまう時は、確かにあるということです。ではどうするか。明らかになっている「敵になっている自分の言葉を味方にする方法」を紹介します。
まずは、自分を「名前で呼ぶ」。客観性を伴わせるということです。私は8歳ぐらいの時からよく独り言を言う自分がいました。頭の中に自分が「ミニミヤコ」と名付けた存在がいて、そのミニミヤコがミヤコに語りかけるということをやっていました。ミニミヤコが「ねえ、ミヤコはいま何を考えてるの?」というように、自分に対して名前で呼ぶということは、客観的な課題解決の思考につながるということが、脳の研究で分かってきています。
この時に重要なのが、ただただ話をし合うということです。誰かに話を聞いてもらっている時と同じ効果をもたらすと言われていて、そのことをミニミヤコと一緒にやるということです。
自分が敵になっているのであれば、しっかり敵の様子を見ることで初めて味方に変えたり、敵を静かにさせたりできます。「考えない」ということは人間には不可能で、間違ったり、自分にとってマイナスの方向に考えたりしている自分の中の敵の言葉をどうやって味方に変えていくかがポイントです。
よく、私たちは、「自分のメンタルは弱いんです」と言うことがあります。でも、その弱みや痛みに気づくことこそが解決の鍵になります。痛みに気付くと嫌ですが、大事なサインだと思えるようになります。自分の中の敵の言葉は、実は「自分のココを直すと、もっと良くなるよ」「もうちょっとこういう風にやっていけばちょっとはマシな自分になれるよ」というサイン、声に過ぎないのです。
「最強の自分は、実は自分の中にいる」いうことに気づき、自分自身を最強の味方にしてください。