2010年4月17日放送 田部井淳子さん(第1683回)
- 会場
- 沼津市市民文化センター
- 講師
- 登山家 田部井淳子
講師紹介
1939年福島県生まれ。
1975年世界最高峰エベレスト8848mに女性で世界初の登頂に成功。
1992年女性で世界初の7大陸最高峰登頂者となる。
現在も年数回、海外登山にでかけている。
番組で紹介した本
「怖いもの知らずの女たち」
著:吉永みち子
発行:山と渓谷社(税込1,680円)
第1683回「自分の歴史を豊かに」
私達が南極へ出かけた時の話から始めたいと思います。
世界を七つの大陸に分け、その最高峰を制覇するのは、
登山家にとってステータスであり憧れでした。
でも、南極へ行く交通手段がありませんでした。
それでも私は夢を持ち続け、南極貯金をしていました。
そんなある日、南極へ行くツアーが、山の雑誌に載っていたのです。
世界にはすごい人達がいるもので、飛行機を買い、パイロットを雇い、
南極へ行く旅行代理店を設立した人達がいたのです。
一人350万円かかりましたが、南極に降り立った時の印象は、一生忘れません。
見渡す限りの美しい大氷原を見たとき、
これから先、どんなに辛いことや苦しいことがあっても、この風景を思い出せば、
どんなことでも切り抜けられると思いました。
私は今、70歳です。
平均寿命まで生きられるとしたら、残りの日々をどう過ごすかが大切だと思っています。
私は残された時間を、今まで以上に密度濃く生きたいと願っています。
残すのはお金でも物でもありません。自分のやりたい事をやろうと思っています。
いずれ死ぬ時に、おもしろかった、やるだけのことはやったと思って死んでいきたいと思っています。
夢であった世界七大陸の最高峰制覇は成し遂げました。
今は、世界各国の最高峰登頂を目指しています。
現在58ヶ国登りました。100ヶ国以上残っていますが、挑戦していきます。
そして、山以外の日常を充実させようと、山仲間とシャンソンに挑戦しています。
怖いもの知らずの女達ですが、やりたいことがたくさんあり、それが私の活力になっています。